【シルクロード】6日目(その2)中国列車の旅 南疆線の車窓から

トルファン市内のホテルから約1時間。タクシーはトルファン駅に到着。メーターで100元を少しオーバー115元でした。

しかし、なぜか駅前に行ってくれません。商店街が並ぶ駅前通りでタクシーを降ります。

とたんに、われ先にと、タクシーの奪い合い。なんだ、こりゃ?

とりあえず、駅前と思しき方角に、キャリアを転がします。

本日の移動スケジュール

日付便名スケジュール移動距離料金

5/1

(水)

k9719

トルファン10:09 ⇒ カシュガル 翌3:14

1,445km

約7,300円

※軟臥

今日は、タクラマカン砂漠の北辺に沿って、1,445キロ。列車に乗って、新疆ウイグル自治区の西端の町カシュガルに向かいます。

距離1,445キロを約17時間。さすが、中国大陸の旅という感じです。

日が暮れるのが21時として、11時間も三蔵法師の歩いた天山南路を眺められるんです。どんな雄大な眺めなのか、また、時おり現れる町はどんな町なのか、楽しみで仕方ありません(^_^)

トルファン駅の風景

ここが、駅前から通じる十字路。なるほど、列車で駅に着いたはいいけど、タクシー難民になってしまってるんだね。市内まで60キロあって、タクシーがないと、そりゃ困るわ。

でも、このあたりは大河沿鎮という名前の町です。より市街に近いトルファン北駅が出来たとはいっても、永年この駅で乗降する観光客や住民を支えた駅。駅の周りには、生活の香りがあります。

ちなみに、市内からここまでの間は、まったく文明の香りがしませんでした。

振り返ると駅がありました。しかし、取ってつけたようなプレハブの検問所が。また、トルファン北駅で受けたような尋問を受けるのかよ・・・

タクシーが駅前につけなかった理由がわかりました。検問所のせいで、駅前に入れないのでした。

検問所の前に「超市」があったので、食料を仕入れます。トルファンからカシュガルまでは17時間以上の列車の旅です。

ああ・・・嫌だなあ・・、このドア開けるの・・警官が、何人も待ってるのがわかってるから。

案の定、身包みを剥がされた上で、矢継ぎ早に質問。でも、今回は10分くらいで終わりました。よかった・・

しかし、私のパスポート登録を、警官のプライベートスマホ(のようなもの)でやってたぞ。大丈夫か?

 

歴史ある、トルファンの駅前。

駅前広場には食堂が並びます。かつては、トルファンといえば、どこの町から来るにも一昼夜かかる距離。長旅の疲れを癒すための食堂がさぞ繁盛したことでしょう。

さて、ここで、もう一回検問。というか、保安検査。ここは、単なる荷物検査だけで終わりました。

次の列車10:09発の和田(ホータン)行きが乗るべき列車です。

駅の中に入るのに、もう一回、荷物検査。合計3回、いい加減あきれます・・・

待合室のある2楼に来ましたが、なぜか閉鎖されている。たしかに、発車まで2時間あるし。

 

駅のテラスから、駅前広場を眺めます。あの十字路から、駅の中に入るまで、3度の保安検査。トルファンって、いや新疆ウイグル自治区って、そんなに危ないエリアなのかよ・・・

待合室があくまで、フロアにぺたりと座り込んで待ちます。

ようやく待合室が開き、同時に客もどっと流れ込んできました。

  

中国では、今日5月1日から労働節の4連休がはじまっています。

多い荷物は、観光に出かけるのか、それとも帰省でしょうか。

さっきの「超市」で仕入れた、フカフカのパン。

  

長距離列車を待ってる瞬間って好きです。

ウオークマンから流れてきた曲は、アリス「遠くで汽笛を聞きながら」でした。

 

カシュガル方面の列車は3本のようです。トルファンは、蘭新線と南疆線の分岐駅です。

改札がはじまりました。

この乗客たち、どこまで行くのかな。カシュガルだとしたら、長旅だ。

   

跨線橋を渡って、ホームへ。昨日、あれだけ暑かったのがウソのように、涼しい風が吹いています。

 

天山南路 シルクロード列車の旅

ちょうど、そこへ列車が入ってきました。精悍なかっこいい電気機関車が、濃緑色の客車を引いています。

 

中国の人たちも列を作って並ぶようになった、とは聞きましたが、都市部だけかな。でも、立席のチケットだと、われ先にと思う気持ちはわかる気がする。長時間の移動ですから。

 

私の乗る9号車軟臥車は、もっと前方です。

車両ごとに乗客をチェックする女性服務員。

ホームを歩いていると、これから旅立つという気がするなあ。

この列車の行き先表示板。私が乗るのは、トルファンからカシュガルまでだけど、この列車はカザフスタン国境に近い伊寧(イーニン)を前夜23:18に出て、ウルムチを通り、ここトルファンからカシュガルを経て、終着駅の和田(ホータン)に着くのは10:20。

つまり、二晩走る列車ってこと。走行距離2,600キロ以上、走行時間35時間、日本では考えられない文字通りの長距離列車です。

 

チケットを見せて車内に入ります。服務員はウイグル系の素敵な女性でした。

いよいよ出発です。カシュガルまでの17時間。旅の目的は、天山南路の景色、点在する町の風景を眺めること。カシュガルまでの時刻表はこの通りです。

トルファン10:09
和碩12:49
焉耆13:17
コルラ14:05
輪台16:10
クチャ(庫車)17:36
新和18:09
アクス(阿克蘇)20:57
カシュガル3:20

列車が発車し、「吐魯番」の駅名票が通り過ぎます。

 

17時間過ごす私の部屋はここ。この2号室の5番、すなわち下段です。

扉の中は静まり返っていたので、ひょっとしたら相客は眠ってるのかなと、音を立てないようにコンパートメントの中に入ると、案の定寝ていました。

しかも、なんと女性でした。コンパートメントの相客が男女かち合うのは、中国ではよくあることです。カーテンの仕切りもないので、女性からしたら、どんな気分だろう。

トルファン駅を出て、しばらく大勢の鉄道員による保線工事が続きます。「労働節」なのにご苦労様です。

相客は、向かいの下段の女性と、上段の男性2人。2人とも眠ってるので、シャッターの音で起こしてはいけないと思い、通路に出ます。

列車は、トルファン郊外の砂漠を南に向かって走ります。

 

隣のコンパートメントは、子供連れで賑やかです。

 

さっきのウイグル人っぽい女性車掌が検札に来ました。

チケットを回収して、カードを置いていきました。私は、「カシュガルの手前で起こしてくれますか?」と翻訳した文書をアプリで見せると、「もちろん。」と笑顔で返してくれます。やさしそうな女性車掌でした。

カシュガル到着は早暁3:20。スマホの目覚ましだけでは不安です。

 

快調に走っていた列車が停車。しばらく止まっています。

通路には、眠りから覚めた子供たちが、我が物顔で走り回っています。西域の朝10時といえば、標準時で朝8時ごろ。ちょうど目覚める時間です。

お、子育てパパ登場。かっこいいぜ!

ところで、これだけ子供連れ、すなわち家族連れが多いというのは、観光というより、「労働節」を利用した里帰りなのかな。

止まっているわが列車の横を、猛スピードで列車が追い越していきました。私が乗っている列車は特別急行ではないんだね。

  

列車が再スタートしました。音を立てないようにコンパートメントに入り、景色を眺めます。

 

林立する風力発電の風車。

風車は止まっています。今日は風が吹いていないようです。 

 

あの橋脚をこれから渡るんでしょうか。

上から見下ろすと、迫力が違いますね。

 

また通路に出てみました。

こちらは、天山山脈の方角。視界には、砂と岩山しか入ってきません。すごいところです。

車内販売も、よく通ります。

隣の車両に行ってみました。隣は普通座席者。なんと、立ち客でいっぱいです。どこまで行くのか知りませんが、長距離の移動を立ちんぼって、大変だ・・・

こちらは、反対側の隣の車両。硬臥車(日本でいうところのB寝台車)でした。3段ベッドの頭はそんなに窮屈そうに思えなかったけど、ベッドの幅が狭い。最上段の乗客は怖いんじゃないかな。

中国の列車は、通常、軟臥車両の隣に食堂車が連結されています。ところが、この列車は両サイドは客車でした。まさか、食堂車がないとか・・ 軽い不安を抱えながら、自分の車両に戻ります。

車窓には、雪をかぶった天山山脈。

 

オアシスのような町が現れると、

駅も現れます。この列車は通過です。

砂地の大地に緑が現れる不思議。

 

そして、また砂地の大地に戻ります。

 

雄大な景色に飽きることがありません。

南疆線 コンパートメントのひととき

景色を眺めていると、上段の男性客が降りてきて、身振りで私に「ここに座っていいか?」「もちろんです。」

この男性もウイグル人のような顔をしています。その、どこか西洋を思わせる顔つきで、中国語を話されると、なんか、とてつもなく違和感があります(笑)

 

列車は、天山山脈の勾配を登り続けています。トルファンの標高が海水面下であったことを考えると、実に1,000mも登ってきたことになります。このあたりが、南疆線建設の最大の難所であったらしいです。

 

かつては、このあと標高2,500mほどまで登って、天山山脈を越えていました。この難所を克服するため、ループ線という、勾配を緩やかにするために弧を描くように線路が敷設されていたようです。

上段の男性が筆談で話しかけてきます。私が日本から持ってきたwifiが、こんな山奥でも繋がるのが不思議ですが、私もアプリで答えます。

翻訳アプリって、ほんとに便利だな。この男性は、次の停車駅「和碩(ほしゅ?)」で降りるそうです。やはり、「労働節」を利用して故郷に帰るとのこと。ふだんはウルムチで仕事をしているようです。

こんな、とりとめのない会話をしていると、列車はトンネルに入りました。

これが、南疆線の難所であった天山山脈越えをトンネルでぶち抜いた「中天山トンネル」。

この全長21キロのトンネルの開通により、9時間かかっていたトルファン~コルラ間が、一気に5時間程度にまで短縮されました。寒暖の差が激しいこの地では、トンネルの建設は困難を極めたそうです。共産党の「一帯一路」構想にかける思いが、透けて見えます。

実際、トンネルは長く、真っ暗闇の状態が20分近く続きました。(コンパートメントに明かりがないので・・)

トンネルを抜けると、コンパートメントに男性はいませんでした。顔でも洗いにいったのかな。

標高も上がっています。

新しくできた区間なので、列車も速度を上げています。おそらく120キロ以上。

  

トルファン方面へ走るバス。

 

男性が、戻ってきて、スマホを私に見せます。そこには、日本各地で「令和」を祝う行事が表示されていました。そして、日本語で「おめでとう!」と言ってくれます。

そうだ、今日は「令和元年」最初の日だったんだよな。それが、こうして月の砂漠のようなところを旅しているのが不思議。軽い罪悪感も湧き起こります。

 

水のない川に架かる橋が、町が近づいたことを知らせてくれます。まもなく、男性の故郷 和碩です。

 

和碩駅に到着。

男性とは、ここでお別れ。なんか、15年も前にシベリア鉄道に乗ったときのことを思い出しました。

乗ってくる人もけっこういます。

  

和碩を発車。まだトルファンから3時間足らず、カシュガルまでは14時間以上あります。

タイトルとURLをコピーしました