島の天気は変わりやすいといいますが、北の果て利尻島では、それがさらに顕著にあらわれます。
「利尻郷土資料館」を出て、利尻島の外周道路まで戻ると、ふたたび海上は何も見えないほどの霧で覆われていました。
恐怖を感じるほどの濃霧
霧というのは、気象学的には、暖かく湿った空気が、温度の低い海面上に流れ込み、その空気が冷やされることで発生します。
簡単に言えば、気温が水温より高いので発生するわけですが、このあたりは、間宮海峡からのリマン海流という寒流が流れているので、霧が発生しやすいそうです。
そして、海上で視界が500m以下になると、濃霧という表現になります。
500mどころか、100m先も見えないので、完全に濃霧ですね。
ちなみに、海上で発生する霧のことはガスともいうようですが、ここまでくると、完全にクルマの周囲がガスに覆われる瞬間もあり、クルマを止めざるをえません。
クルマを止めて、車外に出ようものなら、自分の身の回りが完全に真っ白な世界に包まれることもある。
ほんとに、白い煙がすーッと音もなく近づき、数分で視界がまったく効かなくなるんです。
恐怖を感じる瞬間です。
そんなときは、オートフォーカスもまったく効かず、写真を撮ることもできません。
あえて撮れば、こんなふうになります。
この状態で行動するのは危険で、もちろんすぐに車内に戻りましたが、もし海釣りとかしていて海上でこんな霧に襲われたらパニックになってしまうでしょう。
状況が状況なら、とてつもなく危険な気象状況ということになりますが、なにも見えないということは、幻想的だ、という表現もできる。
北海道では、釧路の「ぬさまい橋」の濃霧が有名ですが、今度は霧の季節に釧路に行ってみたいな、そんな気持ちになりました。
利尻山からの恵みの水「麗峰湧水」を飲んでみる
霊峰ではなく、麗峰です。これは、利尻山からの湧水。
霧に包まれた海岸沿いにあります。ためしに飲んでみると、冷たくて美味しい。
この辺りは「利尻町」といいます。鴛泊のあたりは「利尻富士町」です。
北のいつくしま弁天宮
日本ではお決まりの、海上にそびえたつ鳥居。
麗峰湧水から、少しクルマを走らせると、ガスの中から朱色の柱が浮かび上がってくるのですぐわかります。
霧の中で見え隠れするほこらには、独特のすごみを感じます。
風も強いので、「龍神の岩」へたどり着くのが困難なほど。
海鳥たちも、よくこの風のさなか、飛べるもんです。
寝熊の岩&人面岩
北のいつくしま神社の先にあるのが、「ねぐまはし」。
そして、その下にあるのが「寝熊の岩」。
熊が寝そべってるように見えます?
よくわからなかったけど、荒波が打ち寄せる「龍神の岩」のほうが神秘的だ。
そして、こちらは「人面岩」。どれが「人面岩」だかわからないw
私が、こうして海岸でたたずんでいると、ライダーの方や、レンタルではない、あきらかに自前のロードバイクの方が立ち寄っていきます。
みなさん、この天気では、何しに来たのかわからない、という顔をしてますが、島の天気は変わりやすいんです。
30分もしないうちに、もう晴れ間が見えはじめてます。
旅で目にする光景は一期一会。
走り回っているうちに、お気に入りの情景に出会えますよ。