昼寝文化のある台湾やスペインがうらやましい。
たった30分の昼寝であたまスッキリ。
まるで別の日のような気分で、地安門内大街を南に歩きます。
北京中軸線の中心「景山公園」
向かっているのは「景山公園」。
正確に言うと、完全予約制となった天安門広場の入門時間まで調整しているわけだけど、その前に北京中軸線の中心となる景山公園によってみようか、と思ったわけです。
通り道だからね。
世界遺産の公園なのに、市民の憩いの場でもあるので、入場料はわずか2元。
いまどき40円で入れる世界遺産も珍しい。
では、北京の風水に長らく貢献してきた景山公園に参りましょう。
景山と書くように、ここは小高い山。
でも、自然にあった山ではなく、実は人工的につくられた山。
元代に掘られた運河の残土と、故宮の護城河を掘った際の土を積み上げて造られました。
風水では「皇居の背後に山があると安定する」とされ、この山は風水上の「靠山(こうざん)」として、文字通り故宮の背後に設けられたわけです。
人工の山とはいっても、高さは108m。北京市民とともに、一生懸命登ります。
ようやく頂上かな。
おお、かっこいい・・・
故宮ですね。
9年前には訪れたこともある故宮。
内部からディテールを眺めるのもいいけど、全景を見渡すのもいい。
さっきのは中腹で、もっと上があるみたいでした。
ここがてっぺんかな。
まさしく、「赤い海」と称される故宮の全景です。
これは素晴らしい。大小大きさの異なる殿閣が幾何学的な美しさを醸してます。
今日は土曜日。故宮にも、観光客は大勢訪れている模様。
時刻は15時。これ午前中や正午だったら、完全に逆光になる構図。
夕方近くに来てよかったのかも。
「故宮を俯瞰する景色」は、古来より皇帝の視点を象徴するもの。
代々の皇帝や高官がしばしばここを訪れ、国家と天地の調和を祈念していました。
私も皇帝になった気分。
ここは、歴史的には、明の最後の皇帝・崇禎帝が自害した地としても知られています。
1644年、李自成軍が北京に迫った際、崇禎帝はこの景山の老槐樹で首を吊って命を絶ちました。
そう言う意味では、中国の近世史の転換点を象徴する場所なのかもしれません。
これは反対側の眺め。
中国の旅は冬に限るという自分の持論は正しいと思う。
隣にある北海公園のチベット仏教寺院も眺められます。
では下山して、その北海公園に行ってみますか。
夕方になっても入園者の途切れることのない景山公園でした。
遼・金代の皇族庭園「北海公園」
歴史的には、景山公園よりも古い北海公園。
入園料も貫禄の5元。景山公園の倍以上。といっても100円ですが。
現存するものの中では、世界最古ともいわれる皇室庭園。
でも、なぜか、公園の中之島ともいえる「瓊華島(けいかとう)」の頂上には、チベット仏教様式の白い仏塔「白塔」がそびえたっている。
これは1651年に順治帝がチベットのダライ・ラマ五世を迎えたことを記念して建立されたもの。
北海公園は中国伝統庭園の集大成。
湖・島・楼閣・庭木が絶妙に配置され、「山水画の中を歩くような体験」とも称されています。
ただ一周してしまうと、天安門広場の予約時刻に間に合わなくなてしまうので、公園の南側にしぼって散策。
清の第6代皇帝「乾隆帝」はこの庭園をことのほか愛し、詩や碑文を数多く残しました。
この石碑もそのひとつだそうです。
やっぱり私は東洋人。東アジア文化に囲まれて散策するのは、心が落ち着く。
さて、この辺りまで来て、引き返します。
これは、瓊華島の最南端にある永安寺。
瓦の形といい、赤茶色の石壁といい、伝承されてきた中国文化の集大成といわれるのも頷ける話。
そして、春には牡丹、秋には紅葉と、四季折々の花木も楽しめる。
まさに、「天子の憩いの湖」といえる北海公園でした。