「深夜特急」聖地巡礼。「深夜特急」を追いかける写真の旅。
単行本の第2巻は「マレー半島・シンガポール」。
単行本に従うわけではありませんが、第2弾の写真旅は「タイ・マレーシア・シンガポール編」としました。
沢木さんの掲げた、「デリーからロンドンまで乗り合いバスで行く」という初志にはまだ地域的に届いていない前座のような感覚ですが、香港ともまた違った伸びやかな東南アジアの雰囲気は、旅人の心を掻き立てるものがあります。
まずは、沢木さんが「曖昧でとりとめのない」という表現をされていたタイから。
バンコク「シーロム通り」
感性が鈍感だからか、あるいは素直だからか、「シーロム通り」から一歩入ったマーケットの熱狂に感動してしまった私。
まだ、海外渡航国10カ国めだったタイ・バンコクの風景。
バンコク・ワットポー
沢木さんが、暑さにやられて見る気も起きなかった涅槃像。
凡人の私は、行儀の悪いお釈迦様の姿に見入ってしまいました。
そして、沢木さんと同じように涼をとれる場所をさがします。
1月でもバンコクは暑かった。
バンコク中央駅(フアラムポーン駅)
タイに来て、とりわけ乗りたかったのがタイの国鉄。鉄道の旅である。
「深夜特急」はバスで西に向かうストーリーだが、このマレー半島は鉄道による移動が臨場感さながらに描かれている。
沢木さんは、マレー半島を南に下ったが、私はアユタヤへ北上。
何年ぶりかに乗る「窓の開く列車」に感動。
そして、前のシートに足を投げ出して窓外の景色を楽しむ、子供の頃の列車旅を思い出したタイ鉄道の旅。
沢木さんはラーメン。私はパンを食べた、タイ中央駅。
マレーシア・ペナン
「深夜特急」においても、とりわけ来たいという思いの強かったペナン。
マレーシア、バタワースからペナン島へのフェリー。
沢木さん当時は往復で45円。現在は35円。
これは、やっぱり日本円の実力なのでしょう。
当時は、スマホもペナン大橋もなかった海峡を、生活の足としてのフェリーが今も支えています。
マレーシアの旅の楽しさは、チャイナタウンにある。
東南アジアを旅しているはずなのに、目に入ってくる漢字のサイン。
異国なのに、妙に親近感のわく瞬間。
マラッカ海峡
ポルトガル仕様の赤い屋根瓦のむこうに広がるマラッカ海峡。
今も昔も、この海峡をひっきりなしにタンカーが行き来します。
「深夜特急」での沢木さんの滞在はわずか1日。私は3時間でした。
今度、世界遺産のこの街に訪れるときは、数日滞在してみたい。
シンガポール
シンガポール・チャイナタウン。
香港の熱狂を求めて、マレー半島を下ってたどりついたシンガポールであったが、沢木さんの目には退屈に映ったようである。
しかし、それは、やはりシンガポールはシンガポールであって香港でないのだからという当たり前の事実に気づいたのもシンガポールであった。
以後、沢木さんは、行く街行く街で、香港の幻影を求めることなく、素直にその街の姿を受け入れていく。
ちなみに、沢木さんが訪れた当時、マーライオンはあったのだろうか。
背後の金融ビル群は間違いなくなかったと思うが。