中南米を旅するにあたって、どうしても体験したいミッションがあった。
それが、バス旅での国境越え。
興味のない人にとっては、それが何?って話になってしまうのだろうけど、旅とは移動であるから移動していけばいずれは国境を越える。
国境を越えれば、なにかが変わる。
たいして変わらないこともあるけど、その変化するなにかを見極めたり体験したりすることこそが旅の醍醐味と思い込んでしまっているから仕方ない。
この写真は、アルゼンチンとチリの国境。
ところで、6年前キューバのハバナ空港で、ある一人旅のおじさんから話しかけられた。
半年前に会社員を引退して、思うままに旅している。
ハバナからカンクンに飛んで、バスで中米を南下するスケジュールを楽しそうに語ってくれた。
心の底からうらやましい、と思ったのは久しぶりだった(^ ^)
このおじさん、現役の会社員だったころは、私のように弾丸で飛び回っていた。
「時差ボケで出勤なんてしょっちゅうだったなあ」と、遠くを見るようにつぶやいていたのが懐かしい。
バス旅への思いは、「深夜特急」に感化されたものと自覚してるけど、中米のバス旅は、私はいつのまにか、そのハバナで会ったおじさんを追いかけていたのかもしれない。
治安がおぼつかない中米のバス旅
前置きが長くなったけど、中米のバス旅は、実は簡単ではない。
ルートは、それこそ無数に用意されているものの、治安がおぼつかないのだ。
出典:外務省海外安全ホームページより
外務省のHPをみると、2024年8月における危険度は上図の通り。
白と黄色は通れると考えれば、パナマとコロンビアの間は通れないにしても、メキシコからパナマまで南下するのは比較的簡単そうに見える。
ところが、メキシコ南部、ホンジュラス、エルサルバドルの各国の長距離バスで、バス強盗が発生している。
比較的安全と思われていたグアテマラでもバスジャックが発生し、日本人が被害を受けた事例もある。
外務省の危険度というのは、相手国と政治的に対等に会話できるか、がベースだから、強盗や殺人などの治安まで考慮したら、中南米の地図はもっと濃くなるだろう。
というわけで、安全策をとらざるを得ない会社員トラベラーの私は、コスタリカとパナマ間のバス旅をチョイス。
ていうか、そこしか選べなかった。
それでも、サンホセとパナマシティは17時間。
十分に乗り出がある国境越えのバス旅になる。
コカコーラ地区のサンホセ・バスターミナルでのひととき
サンホセの街を歩きまわり、日も暮れた20時過ぎ、私はUberでコカコーラ地区にあるバスターミナルに出向いた。
コカコーラ地区というのは、サンホセ中心部の西にあたり、サンホセにおいては少々治安がよろしくないエリア。
なので、徒歩で行こうとせずUberに頼った次第。
実際、着いてみると、バスターミナルの建物は鉄格子に覆われて物々しいし、周囲はこのとおり真っ暗で、人の姿もない。
Uberで来て正解だった。
建物の中に入っても、ガランとして、誰もいない。
それもそのはずで、パナマシティ行きの国際バスの発車は日付の変わる23:50。
まだ3時間もあります。
唯一いたスタッフに声をかけても「まだ手続きははじまらないよ」
みたいなことを言われる。
ちなみに、バスは中米を幅広く手がけるTICABUS。
TICABUSの公式webサイトに行けば、簡単に予約できます。
ちょっと迷ったのが、パナマシティのバスターミナル。
たぶんAlbrookという場所でいいんだと思う。
シートも指定できるので、前方の景色が見たくて最前列を指定しました。
さて、準備は万全のはず。
のんびりと出発、というか搭乗手続きの開始を待ちます。
ところで、このバスターミナル。
簡易ホテルが併設してありました。
なるほどね・・・こういうホテルを渡り歩けばいいのか・・
では、JUJUでも聴きながら過ごしましょう。
パナマ入国の事前手続き
22時を過ぎて、少しづつ乗客が集まってきました。
そして、スタッフから「これに登録しろ」とQRコードがついた紙を渡されます。
そのQRコードを読み込むと、パナマ入国の際の税関系の質問に回答するサイトへ。
そして、進めていくと、名前やらパスポート番号やらを入力し、最後は顔写真を自撮り。
すると、完了という意味のQRコードが発行されました。
それを見たスタッフが「パーフェクト!」(そりゃ、あたりまえだろw)
そして、なぜか8ドルとられます。
えーと、直訳すると、なんだこれは・・・手荷物検査フィー・・出国税・・?
よくわからないけど、みんなも8ドル払ってるから、必要な手続きなんでしょう。
そして、荷物を預けます。
念のため「バスの中は寒いか?」と聞くと、ストレートに「コールド」。
笑っちゃうwww
スペイン語圏のバスがクーラーぎんぎんにかけるのは周知の事実として、自分たちでもそれをわかってるなら、ほどほどに調整すればいいのに(^ ^)
荷物を預ける前に、うすいアウターを取り出して、冷房冷えすぎに備えると、バスがやってきました。
いよいよ、パナマシティへの17時間のバス旅のはじまりですね。