ハンドルを握り、右側車線をノールカップに向かってアクセルを踏みます。
予定通り、クルマがレンタルできたので、もう何も心配いりません。
というより、今回の旅は、まさにノールカップまでドライブするために企画したようなものですから、長年の夢がかなって感無量。
現在8時。ノールカップまでは200km弱。景色のよいところでは、寄り道なんかするだろうから、ノールカップ到着はお昼過ぎかな、と見積もります。
欧州自動車道路E06号線を北へ
交通量も少なく、快適なドライブです。
今走っているのは、欧州自動車道路のE06号線。
スウェーデンの南端(ストックホルムよりも南マルメのあたり)から、ノルウェイを北上し、ロシアとの国境付近のヒルケネスという町までの3,088kmの国際道路。
アジアハイウエィの欧州版(いや、主従が逆ですね笑)ですね。
アルタからノールカップまでの道のり
ノルウェイ最北部を手書きしてみました。ちょっとズレてる地図で、あくまでイメージですが、本日のドライブはこんな感じ。
ノールカップの帰りには、ホニングスヴォーグの町をちょっと見てみたいな、と思ってます。
本当は、トロムソからドライブしたかったんだけど、アルタとは300kmも離れているので無理。
さらに、ノールカップへ深夜に着くようなスケジュールを組めば、まさにヨーロッパ最北の地でミッドナイト・サンを見れるわけですが、自分で運転していく以上、それも無理。
徹夜の運転なんて、若くなくてはできませんからね。
グーグルマップでドライブルートを示すとこの通り。
なかなか運転しやすい、スズキ・スイフト。
ときどき、こうやって道端に止めて、周りの景色を楽しみます。
どんよりとした空模様が、最果てを感じさせますね。
再びスタート。
この時期の道路凍結はまずありえないだろうけど、6月くらいまでは雪も降るだろうし、9月には早くも秋の訪れ。
道路事情に何の心配もない時期のドライブです。
なんといっても、北極圏を走っているんです。
いきなり天気が急変し、猛吹雪になって、一面アイスバーン、なんてことも不思議じゃないそうですから。
また、休憩。ていうか、一気に走り切ってしまうのが惜しい気分。
それにキャンプ場が随所にあるんですよね。
植物を観察したり、優雅なドライブ。
ノールカップまで197kmの地点で、一面の霧が発生。
一瞬、なにもかも見えなくなるほどでしたが、クルマを止めている間に、少しづつ霧が晴れてきました。
いやあ、びっくりしたなあ。本当にコロコロ変わる天候。油断はできません。
最果ての一本道。見上げれば、雲がすごい勢いで動いています。
ヒルケネスは、ロシアのムルマンスクとの国境に近い町です。
本当は、ノールカップに行く際は、ロシアのモスクワからムルマンスクまで北上し、ヒルケネスから向かいたかったんです。
モスクワまではシベリア鉄道で行ったことがあるし、そうなれば、日本から地上をはってヨーロッパ最北端までたどりついた、とすることもできました。
しかし、ヒルケネス経由だと、レンタカーの手配が覚束なかったので断念。
外気温は10度ほど。
見えるかな、と思っていた動物たちも、今のところは登場しません。
そういえば、お腹すいてきたな。朝から、何も食べてないことに気がつきました。
アルタ空港も、売店開いてなかったしね。
と思った頃、ハンメルフェスト方面との分岐路に到着。
ハンメルフェストは、人口わずか1万人の世界最北の町の一つ。
今回の旅で、実は行こうか行くまいか悩みましたが、ここから約60km離れていて、往復の所要時間だけでも2時間を要するので、断念しました。
そのT字路に、ガソリンスタンドとスーパーを兼ねた施設がありました。
ロッジ風のおしゃれな道の駅です。
コーヒーとホットドッグで45クローネ(540円)。
おいしいホットドッグだったし、これで十分です。
再びE6をスタート。
しばらくして、E6から分かれてノールカップに伸びるE69との分岐路に到着。
ここを左折すれば、あとは基本的に一本道です。
ポルサンゲン・フィヨルド沿いのE69号線
今度はE69号線を北上。この道は、ノールカップや、その手前の町ホニングスヴォーグに行くための道といっていいでしょう。
この道路は、地図で見ると、ずっとポルサンゲン・フィヨルドに沿っています。
右側に細い湾が見えはじめました。
これからしばらくは、こんな感じで海に沿います。
どんよりとした雲が、最果ての雰囲気を盛りたてますね。
最果ての道を急いで走るのはもったいないです。
何かのおまじないでしょうか。
冬というか、5月頃にも来てみたくなりましたね。どんな感じなんだろう。
しばらくは、フィヨルド沿いのE26号線の景色をお楽しみください。
繰り返しますが、北緯70度より北の海。ふつうの海ではありません。
じっと海を見ていると、化け物でも出てきそうな妄想が。
観光バスとすれ違いました。
ノールカップへの行き方は、ノールカップの手前の町ホニングスヴォーグまで飛行機かフェリーで行って、そこからバスというのが一般的のようです。
したがって、このルートを通る観光バスは、実はそう多くはありません。
アルタからずっと走ってきて、観光バスとすれ違うのははじめてです。
トンネルが現れました。狭そうに見えるけど、バスは通れたのかな。
トンネルを抜けると、再び海岸線に。
波の静かな入り江があったので、クルマを止めました。
海水浴でもできそうな雰囲気ですが、海水を触ってみてびっくり。
超冷たい! です。当たり前か(*^_^*)
しばらくたたずんで、行き交うクルマと景色を眺めます。
北緯70度というのは、このまま西に移動したら、アイスランドの北を通り過ぎ、グリーンランドに突き当たります。
そして、ベーリング海峡よりも北、アラスカの北端にあたります。
とんでもなく北にいるんだという事実を、植村直己氏が縦走したグリーランドと同じ位置にいるんだと自分に言い聞かせ、実感させます。
再びスタート。これ、吹雪にでもあったら、すごく危険な道路のように思えてきた。
周りに乗り物が置いてない。ひょっとして、ホニングスヴォーグあたりから徒歩で来たとか?
景色が、さらに荒涼としたものに変わりました。
今のところ、風は穏やかですが、雲はすごいスピードで動いています。
こういう寂しさをそそる景色。好きだなあ・・
アプリmapsmeを見ていると、大陸の北端に近づいてきたのがわかります。
実はノールカップもホニングスヴォーグも、ノルウェイ本土から離れたマーゲロイ島にあります。
そして、そのマーゲロイ島には、海底トンネルで渡ります。
かつては、マーゲロイ島へはフェリーで渡っていたそうなんですが、1999年に海底トンネルが開通し、陸続きになりました。
このカーブした小さな岬の向こうに見えるのがマーゲロイ島です。
いよいよ、ノールカップが近づいてきました。なんか、ドキドキします(笑)