「切りかけのオベリスク」の見学からクルマに戻ると、運転手が待ってました。
さあ、これから、本日のメインイベント、アブ・シンベルに向かいます。
アスワンの町を出るチェックポイント
WELCOME アスワンですか。
ナイル川を、西岸に渡ります。アスワンハイダムもこのあたりですが、これは帰りに寄ってくれるみたいですね。
アブ・シンベルに向けて、砂漠ロードのクルージング開始!
ちなみに、ルートはこんな感じです。
橋を渡って10分も走ったころ、検問、いやチェックポイントに到着。
運転手が、クルマから降り、いろいろ質問され、クルマのトランクやら、エンジンルームやら、下回りやらチェックされます。
そして、私も、パスポートをチェックされ、いくつか質問されます。ちょっと緊張・・
検査はけっこう入念です。
運転手に、デンジャラスか?と聞くと、ノープロブレム。
「レアリー?」「ノープロブレム」
この厳戒態勢で、ノープロブレムって言われてもね・・
大丈夫だとは思うけど、ちょっと不安になります・・
ヌビア砂漠の時速120キロ快適クルージング
通過が許可になりました。これでようやく、アブ・シンベルに行けることを確信。
朝から、というより未明から、いろいろあって疲れましたね。
さて、無事にチェックポイントを通過した我がチャーター車は、快調にアブ・シンベルに向けて飛ばします。
気持ちよいクーラーの冷気を浴びながら、私は後部座席でふんぞり返っています。
蜃気楼も現れる酷暑の中、運転手は平均120キロで走行。ときには140キロ!も・・
3時間で着いてやる、と豪語していますが、事故だけはごめんです(*_*)
外は、おそらく40度以上でしょう。
ときおり、物資を満載したトラックを追い抜きます。
アブ・シンベル、あるいは、さらに南、スーダンへの輸送でしょうか。
一本道ですが、たまに小道が分かれたりも。
周囲は、なにもないヌビア砂漠。
照りつける太陽が反射して、サングラスをしてないと、目がおかしくなります。
砂の色が変わったりすることも。
とにかく、ひたすら飛ばします。なかなか、日本ではできない体験。
ていうか、絶対日本ではできない体験。砂漠の中、延々と、120キロで飛ばすなんて。
今回、飛行機が欠航になって落ち込んでましたが、そもそも、飛行機を選ぶ理由は時間がないから。
本来の旅のだいご味は、陸路にあると私は考えます。
飛行機に乗れていたら、目にすることがなかった砂漠の景色を存分に楽しみます。
現れる標識。
左に折れると、アマダ神殿方面のようです。
実は、このヌビア方面には、アスワンハイダムによってせき止められたナセル湖畔に、他にもいっぱい遺跡があります。
ところが、それらの遺跡に行くには、贅沢なナセル湖クルーズを利用するしかありません。
そういえば、この運転手の素性がわかっていません。
アスワン空港から乗ったタクシー運転手の親族、ということになっていますが、あなたはガイドなのか?と質問しても、笑うだけです。
でも、「切りかけのオベリスク」の係員とも親しくしてたし、チェックポイントの警官ともふつうに話してましたから、大丈夫でしょう。
ここにいたって、クルマをチャーターできたことを、あらためて感謝。
その運転手は、速度警告音(キンコンキンコンって鳴るやつ)を鳴らしながら、黙々とハンドルを握ります。
アブ・シンベルまで190キロ。3分の1まで来たってことですね。
今のところ、武装勢力の現れる気配なし。ていうか、当たり前(と、勝手に考える)
警察車両とも、時々すれ違うし、ありえるならば、捨て身の自爆攻撃。
イスラム国の連中とかが、自爆テロを起こすならば、逆に隊列組んだ観光ツアーの方が危ないんじゃないの。
たった1人の旅人を、自爆テロで襲うなんて、聞いたことないし、意味もないでしょ。
とか何とか言いながら、ちょっと不安です。
ヌビア砂漠の「道の駅」
「お茶でも飲もう」と、運転手が、砂漠の中に突如現れた「道の駅」というか、休憩所にクルマを止めました。
おごってやるよ、というので、ありがたく、コーヒーを。
ヌビア砂漠の真ん中のドライブインに立ち寄るなんて、まったくの想定外。
灼熱の砂漠の中ですが、屋根の下はなぜか涼しい。相対的にそう感じるんでしょうか。
ドライブインの裏手は、何もない砂漠。
あの送電線は、アスワンハイダムで作った電力を送ってるのかな。
この水ガメは手洗い用?
コーヒーを待つ間に、運転手の携帯に警察から電話が入り、そして、この休憩所にいた警官となにやら話してます。
おいおい、大丈夫か・・
(この時の私の心境。サイは投げられた状態(笑)。まさか、砂漠の中にはほっぽり出されないでしょ。)
運転手と警官は10分くらい話しています。そして、コーヒーもなかなか来ないので、周囲を散歩。
これは、チャーターした車です。
暑い! 本当に暑い。
ためしにアスファルトを触ってみましたが、やけどをするくらいの熱さ。
砂漠の中の一本の道路って、カッコいいね。
砂漠に足を踏み入れてみます。
生涯初の砂漠踏破!
いやあ、感動ものです。
「おーい! ジャパニーズ!」と呼ばれたので、休憩所へ。
警官に、2、3質問されて終わりです。警官とも、握手させてもらいます。
運転手に、「デンジャラスか?」と聞いても、笑って「ノープロブレム」
またかよ・・ まいっか。
あの、真ん中に映ってるジープみたいのが警察車両です。
コーヒーが来ました。
砂が混じってるんじゃないかと思うくらい、粒子の粗いコーヒーでしたが、おいしいです。
休憩所で働く人も明るい。
こんな砂漠の中のオアシスみたいなところでコーヒーを飲むなんて、考えてみれば、最高の贅沢。
いちおう私、現役世代のふつうのサラリーマンですから。
再び、蜃気楼の砂漠を南下
クルマに戻って、再スタート。
運転手に「今、何度くらいか?」と聞くと、42~3度くらいじゃないか、とのこと。
蜃気楼の中から現れるトラック。神秘的な光景です。
水があるように思えるよね。不思議です。
たしかに、この砂漠の中から、武装勢力が現れるとは考えにくい。
幹線道路にチェックポイントを設けていれば、まあ、爆弾の持ち込みなんぞ、できないでしょう。
あと100キロ。3分の2を走破しました。
砂漠の中に、小高い丘が現れます。
そして、緑が現れ、
建物が出現したことで、アブ・シンベルが近いことがわかります。
と、思ったら、また砂漠の中へ。
そして、蜃気楼の中へ。
アブ・シンベルに近づいたと思ったのも、蜃気楼のせい?
でも、やっぱりアブ・シンベルに来ていたようです。久しぶりに見るモスク。
文明の香りに、なんかほっとするものを感じます。