【成都ひとり旅】寛窄巷子でパンダに囲まれ麻婆豆腐を食べ耳かきをしてもらう夜

完全に日が暮れるのを待って、私は寛窄巷子へと向かった。

寛窄巷子とは何かと問われれば、要するに成都を代表する観光夜市である。

清の時代に築かれた街区をもとに再開発され、古い街並みを再現した飲食と土産のエリア――いわば「歴史風テーマパーク」に近い存在だ。

本物の旧市街そのものではない。

だけど石畳の路地に灯る提灯や、木造建築の軒先に並ぶ四川料理店の風情は、旅人の想像力をほどよく刺激してくれるはずだ。

土曜の夜の雑踏と熊猫(パンダ)で彩られた寛窄巷子

寛窄巷子は、もともとは清朝の八旗軍の兵舎とその家族が暮らした居住区で、広い通りの「寛巷子」、細い路地の「窄巷子」、そして生活路地の「井巷子」という三本の通りから成り立っている。

身分や用途によって道幅が分かれていた名残が、そのまま名前になって残ったらしい。

北京でいえば什刹海に近い感覚だろうか。

観光地化されてはいるが、夜になると人の熱気が加わり、単なる再現空間を超えた生きた街になる。

三本の路地が並行しているらしいが、寛窄巷子全体としてはそれほど広くもない。

まずは当てずっぽうに人の流れへ身を委ねることにしよう。

ところで、寛窄巷子の読み方は「かんさくこうし」でいいのかどうか、成都が「チェンドゥ」だから、多分違ってるだろう。

それにしても、土曜の夜ということもあって、ものすごい人出である。

どの路地を歩いているのかも分からないまま、とにかく露店と土産物屋が続く。

呼び込みの声と観光客のざわめきが混ざり合い、まさに雑踏そのものだ。

この観光客は成都市民だろうか。

計る物差しによっても変わるが、成都都市圏といった場合の成都の人口は、驚くなかれ4,000万人である。

つまり、日本の人口の3分の1である。

その人たちが、気分転換にちょっと寛窄巷子を歩こうか、などと考えただけで、人の洪水が起こるに違いない。

今日なんて、まだマシな方なのかも。

そして、とりわけ目につくのが「パンダ」である。

ぬいぐるみ、バッグ、キーホルダー、看板――視界のどこかに必ず熊猫がいる。

パンダを漢字で「熊猫」と書くことを、この旅で初めて知ったのも恥ずかしい話^ ^

日本では人間を襲う猛獣の代名詞になりかけている“熊”が、ここでは完全にアイドルだ。

このギャップが、なんとも中国らしくて楽しくなってくる。

成都の観光名所「成都パンダ繁育研究基地」、つまりパンダ動物園は、成都中心街から少々離れ、また園内は広く、回るには数時間かかるらしい。

明日しか滞在時間のない身には、明日の訪問は難しいが、このパンダの洪水で、すっかり園内を歩いた気分になった。

さらに目を引くのは三国志の武将たち。

私はコーエーの歴史シミュレーションゲーム『三国志』をこよなく愛し、数少ない映画鑑賞歴の中に『レッドクリフ』が入る三国志ファン。

彼らが祀られている武侯祠は明日訪れる予定だが、すでに街のあちこちで関羽や諸葛亮の姿を見かけるだけで、気分は高まってくる。

成都の風物詩「耳かき」

寛窄巷子を歩いていて、やたらと目につくのが「耳かき」の看板。

とにかく、四川料理屋と同じくらい点在している。

あとで調べてみると、成都では耳かきは単なる身だしなみ、あるいは衛生行為ではなく、茶館文化から生まれた立派な娯楽なのだという。

ようするに、成都が生んだ「くつろぎ文化」。

値段は、判で押したように、どの店も40元。

40元なら800円。

ものは試し、とチャレンジしてみると、ふだんから手入れがいいからか、おやじさんのテクニックが抜群だったからか、あまり手応えの感触を得ないまま終わってしまった。

もう少し、気持ちいい快感を期待していたのであるが・・・

あなどれない本場成都の麻婆豆腐

耳かきで軽く欲求不満がたまり、四川料理を食べたくなった。

食堂車では、ニンニクの芽炒め、青椒肉絲、回鍋肉とこなしたが、やはりここは麻婆豆腐だろう。

耳かきの40元より安い28元のお店があったので、入ってみると、とても28元で食べられるのが信じられない調度品の美しさである。

28元とは560円。

日本のちょっとした中華料理店で麻婆豆腐を食べれば、それ以上いくことは確実だ。

出てきた麻婆豆腐は、辛さをイメージできそうな色。

しかし、辛いものが好きな私は躊躇なく口へ運ぶ。

熱い!が最初の感想。次に、旨い!。

そして、あとからじわじわと辛くなってきた。さすが本場の四川料理、あなどれない。

単なる激辛ではなく、香りとコクの奥から辛さが広がってくる。

これが560円とは、信じがたい。

世界的なインフレは、成都にはまだ届いていないのだろうか・・・そんなことを考えながら、汗をかきつつ完食です。

11月の成都  気持ちのいい夜の寛窄巷子散策

さて、ほてった身体を冷気が冷ましてくれる気持ちいい散策。

11月下旬の成都の夜の気温は10度を少し切るくらい。

風がないので、散歩にはちょうどいい適温。

ここが、細い路地の「窄巷子」のようだ。

そして、これが出口。

3つの路地の地図もありました。

お土産屋さんもたくさんあるし、

イベントも行われている。

「耳かき」と四川料理が同居したお店も。

ところで、いるのかもしれないけど、日本人を見かけない。

そして、いつもの旅の通り、中国人の私を見る目も変わらない。

高市発言で悪化した(と勝手にマスコミが言っている)日中関係は、少なくとも庶民感情には当てはまらないようだった。

寛窄巷子は、歴史そのものではなく、再現された街並み。

それでも、人が集い、食べ、笑い、歩けば、そこは立派な「生きた街」になる。

寛窄巷子は、現代の成都が生み出した新しい夜の風景として、確かに旅の記憶に刻まれる場所だった。

相変わらず、パンダのラッシュがすごい。

まさか、成都といえども、野生の熊猫は街に出てこないとは思うが。

観光地らしく、トイレは至る所にありました。

そして、ツアー会社も。

成都は郊外に数多くの自然や遺跡を持っている。

またくればいいだけの話だ(^ ^)

2時間ばかり歩いて、ホテルに戻ってきました。

ホテルの隣もお土産屋さんだったみたい。

オプションで、明日の朝の朝食をつけられるみたいだけど、明日は朝から文殊院に出かけるので、そこでお茶でもすればよし。

8811号室の窓には、新旧織り混ざった成都の夜景が広がってました。

そして、赤ワインで乾杯して、泥のように眠り込みます。