なぜそんなに好きなのか?
と聞かれて、理論的に答えるのに窮することがあります。
私の場合、「香港」という場所がその一つで、まだ三回しか行ったことがないのに、これから何十回でも行きたいと感じてる場所です。
ほんとに、なぜ好きなのか、と問われてうまく伝えられないんだけど、
- 日本人のような顔した人がうじゃうじゃいるのに、実は日本人ではない。
- 漢字の書かれた看板が無数に空を彩っているのに、やはり日本ではない。
- 国際的近代都市にもかかわらず、古いストリートもあり新旧のバランスがよい。
- 2階建てバスが、派手な広告をラッピングして、ところ狭しと走り回っている。
- 旅人の目を楽しませる、海・山・船・ブリッジ・摩天楼・夜景とすべてそろっている。
- 料理、お酒も美味しい。
なんだか、月並みな列挙になってしまいましたが、総括すれば、これらの魅力が、あの狭い場所に凝縮されてるからと言えるでしょうか。
すなわち、旅密度(なんて言葉あるのかな)が濃いんです。
そのうえ、日本からもそう遠くなく、旅費も安くあがる。
こんな魅力的な街はないと思ってます。
まあ、私の場合は、沢木耕太郎さんの「深夜特急」の影響も大きいんですけどね(笑)
逃亡犯条例の改正に端を発した香港民主化デモ
↑上の写真は、デモではありません。
その、私の大好きな香港が、デモに揺れています。
2017年から毎年訪れるつもりが、とうとう2019年は行かずじまい。
というより、行けなかった。
『犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案に反対する』という主旨のデモの激化である。
これらは、2019年の夏以降激しさを増し、連日報道されていたので、目にされていた方も多いでしょう。
1997年に、イギリスから中国に返還されて以来、香港市民の方は、ずっと違和感を覚えていたものと思われます。
まずは、昨年(2019年)からの経緯をかんたんに振り返ってみましょう。
香港の逃亡犯条例と抗議活動の経緯(2020年5月13日現在)
簡単に、今までの経緯をまとめてみました。(多少のズレはご容赦ください)
日付 | 主な出来事(私の気になったニュースのみ) |
---|---|
2019年2月 | 香港政府が議会に対し、個別事案に応じて、中国本土に犯罪人を引き渡せるよう、逃亡犯条例を改正することを提案。 |
3月 | 条例改正案に抗議し、数千人が香港街頭でデモ。 |
4月 | 香港立法会周辺で、街頭デモ参加者が数万人規模にふくらむ。 |
5月21日 |
林(リン)行政長官が、条例改正案の可決への意思を表明する。 |
6月6日 |
香港の弁護士ら3,000人以上が、「黒い服」をまとって逃亡犯条例改正案に反対するデモ。 |
6月9日 | 香港市民50万人以上が街頭デモ。 |
6月12日 | 警官隊がデモ参加者らに催涙スプレーやゴム弾を発射。 |
6月15日 |
林行政長官が条例改正案審議の無期延期を発表。 |
7月21日 | 香港市民数千人が、「香港連絡弁公室」周辺を取り囲んで警官隊と衝突。 |
7月30日 | デモ参加者44人が暴動罪で起訴される。 |
8月14日 | 香港国際空港で警官隊とデモ隊が衝突。空港がマヒ状態に。 |
10月1日 |
国慶節において、香港では抗議活動が始まって以来最も大規模な混乱。 はじめて警察がデモ隊に向けて実弾を発砲し、デモ参加者(高校生)が負傷した。 |
10月4日 | 香港政府は、超法規的措置「緊急状況規則条例」を発動し、デモ隊のマスクや覆面の着用を禁止。 |
11月4日 |
香港科技大学の男子大学生が、将軍澳尚徳邨の立体駐車場の敷地内で死亡。 逃げる途中と見られているが、自殺以外の犠牲者がでるのは初めて。 |
11月11日 |
デモ隊を撮影していた50代の日本人男性が、参加者から暴行を受け怪我。 香港デモでの邦人の負傷者は初めて。(アホか・・・日本人の恥!) |
11月24日 |
2019年香港区議会議員選挙の投票日。投票率は71.2%で香港返還後最高を記録。 選挙の結果、非建制派議員が8割以上に増え、親中派議員が激減。 |
2020年1月1日 | 香港で行われた非建制派デモで約400人が逮捕。 |
2月3日 | 医療従事者がストライキを行い、中国本土と香港の境界を完全に封鎖する事を要求。 |
3月7日 | 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、公共の場所で5人以上が集まることを禁止。(事実上のデモ禁止) |
※私が個人的に特に気になったニュースは、赤文字にしました。
死者まで発生する収拾がつかない事態に陥ってしまってます。
今後、香港はどうなるのか?
中国政府に批判的な本を扱った香港の書店員が、次々と姿を消す。
有権者によって選ばれた議員でも、中国共産党への忠誠の誓いを正しく述べることを拒否し、議員資格を剥奪された者も。
自由を奪われることを敏感に察知した香港市民のパワーには、本当に畏れいる。
私のような外野の人間が、あれこれ言うのも本当に心苦しいところですが、なんとか穏便に自由を取り戻して欲しいと願っています。
そもそも、香港人は自分たちを中国人とは思っていないらしい。
香港大学によると、2017年の調査では、18~29歳の若い世代の回答者のうち、自分は中国人だと答えたのはたった3%だったとのこと。
ここから先は、香港はどうなって行くのか。
これは、日本人である私の一私見に過ぎませんが、こう考えています。
国家というものは、隣国が自分たちと同じような主張をする国でないと困るんです。
日本人だって、マンションに住んでて、隣人が精神異常者だったら嫌でしょ。
特に共産主義圏については、その傾向が著しく強いため、冷戦時代から、歴史的に何度も、隣国への侵攻が繰り広げられてきた。
ソ連のアフガン侵攻などは、そのもっともたる例ですね。
GDPベースで見れば、香港は中国全体の2.7%(3,630億ドル:2018年)にすぎない。
でも、上記の理由から、中国共産党が、香港を手放すことは絶対にない。
「一国二制度」を維持しているのは「香港特別行政区基本法」。
これの期限は2047年までです。
おそらく中国共産党は、国際的圧力をたくみにかわしながら、香港を手なずけることに裏工作を進めることでしょう。
香港の有識者たちは、そのうちに香港を出て行ってしまうのではないか。
これが、私のもっとも心配するシナリオです。
旅人の準備
香港がこんな状態の中、不謹慎に聞こえてしまうかもしれませんが、私は次に香港へ行けるのはいつだろう?と、日々思考を働かせてます。
ポイントは、シンプルに2点。
- コロナに関する各種制限は、いつ解除されるのか。
- デモに関する旅行者への影響度合いは。
こんなところです。
これも、完全に私の私見ですが、コロナに関する制限が緩和されたとしても、香港市内においての社会活動は、若干制限されることが予想されます。
すなわち、デモも制限されます。
その、社会活動の制限と、不要不急の旅行者の受け入れという、相反する2つの曲線が交差した瞬間が、まさに旅立ちのときと考えています。
このタイミングは、非常に難しい。
不要不急の旅行者を受け入れる雰囲気がないと、そもそも渡航などできませんし、社会活動の制限が外されたら、デモがはじまってしまいます。
だから、このタイミングを逃すと、さらに行けなくなってしまうんです。
繰り返しますが、旅人が、こんなことで悩むのは不謹慎なのかもしれない、とは思います。
でも、旅だって経済活動です。
社会や国家に迷惑をかけずに、ルールに従って行動する分には、許されると思いますがいかがでしょうか。
このルールには、もちろん私の勤める会社の社内ルールも含まれます。
すべてが解除されていても、会社が「まだ安心できないから海外に行くのは控えろ」という方針なら、当然従います。
とにかく、合法的に香港に行くなら、コロナ感染症による各種制限がすべて解除された直後。
お店やデパートが営業してなくてもいいです。
そこまでして香港に行きたいのか、と思われるかもしれませんが、「はいそうです。」と答える自分がいます。