青黒い空が異星の感覚 午後のブハラ旧市街街歩き【ウズベキスタン旅行記 #16】

とにかく暑い、8月のブハラの午後。

ぬけるような空・・・というか、空は青黒い。

気温は40度だから、大したことはない。サマルカンドより4度も低い。

でも、気温というのは気分の問題である。

たとえ気温が40度だろうが45度だろうが、日常営んでる人々の波に囲まれれば、それが当然の儀式のように感じるから不思議。

地元民もさることながら、観光客でさえも暑さを避けてホテルに閉じこもるブハラの午後。

そんなシチュエーションで、まわり中の茶白っぽい外壁から太陽光の照りっ返しを浴びつづければ、体感温度も倍加するというもの。

目に入る光景も不思議なものばかり。

青黒い空もあいまって、宇宙を経由して異星に降り立ったような感覚のブハラ旧市街の街歩きです。

向かい合う「ウルグベク・マドラサ」と「アブドゥールアジス・ハン・マドラサ」

さて、上の地図のように、史跡だらけのブハラ旧市街。

まずは、一番中心部に近い、「ウルグベク・マドラサ」を目指して歩いています。

タキをくぐって広場の方へ。

ほんとに日中は誰もいなくなり、ひとりでさまよいたい旅人には絶好の時間です。

しかし、どれもこれもモスクやマドラサのような形をしているので迷う迷う。

これなんかは、ホテルだそうです。

出ました。左側にあるのが「ウルグベク・マドラサ」で、右側にあるのが「アブドゥールアジス・ハン・マドラサ」。

こちらが「ウルグベク・マドラサ」。表面の壁に、ヤスリでもかけたように削り取ったあとがあるのはなんなんだろう?

でも、近づいてみれば、青を基調としたモザイクはやはり美しい。

入場料いるはずなんだけど、係の人いないので、入っちゃいます。

ウルグベク・マドラサ。

サマルカンドにも同じ名前の神学校があるけど、もちろん同じ名前の由来。

つまり、モンゴル帝国に壊滅されたブハラを復興させたティムール帝国ティムールの孫ウルグベク。

その天文学者・建築の庇護者として知られるウルグベクが、15世紀に建設を命じた神学校です。

創建は1418年というから、サマルカンドのレギスタン広場にたっているウルグベク・マドラサより2年古い。

つまり、中央アジアに現存する最古の神学校だそうです。

しかし、この廃墟のような感覚はどうだろう・・・

青のタイルは色褪せ、内壁も傷んでる。

廃墟の中の知の残響のようなものを感じるけど、ここで学んだ者たちは、どんな空を見上げていたのだろうか。

ウルグベク・マドラサを出て、目の前に立ちはだかるのが「アブドゥールアジス・ハン・マドラサ」。

こちらはウルグベク・マドラサに遅れること約200年。17世紀の建築で、細密な装飾タイルがほぼ完全に残っています。

まるで片方が「科学」、もう片方が「芸術」を表しているような対比が美しい。

 

このあたりが、ブハラ旧市街の中心で、要するに主要史跡のどこにでも徒歩で行けます。

広場を一歩出ると、一気に旧市街らしくなる雰囲気が楽しい。

振り返れば丸屋根のタキ。

やっぱり、ここは宇宙か(^ ^)

実際、宇宙人がここに降り立ったら、どう思うだろう。

チンギスハーンも破壊をためらったカラーン・ミナレット

では、タキをくぐって、城壁の外に出てみましょう。

タキの外に出ても、民族衣装屋さんが並びます。

太陽光の直射で布が傷まないように日陰に避難。

そして、しばらく歩くと、目に飛び込んでくるのがカラーン・ミナレット。

さすがに、ここは暑くても観光客いますね^ ^

青黒い空に吸い込まれそうな、カラーン・ミナレットは、高さが46mでまさにブハラの象徴。

18世紀ごろには、死刑囚が袋詰めにされてあの高さから投げ落とされる、いわば死刑台だったというからすごい。

まあ、あの高さから落ちたら助からないよね^ ^

袋詰めって残酷に聞こえるけど、見えないんだからむしろ人道的?

ミナレットの向かいに立つのは「ミル・アラブ・マドラサ」。

もちろん塗り直しだろうけど、2つの青いドームが美しい。

改修して綺麗になってるけど、さっきの2つのマドラサもこれから改修するのかな。

ちなみに、このマドラサは、旧ソ連時代にも開講が許された数少ない神学校だそうです。

では、カラーン・ミナレットの属するカラーン・モスクに入ってみましょう。

カラーンとは、タジク語で「大きい」という意味。ほんとに大きいな。

遠巻きにも大きく見えたけど、真下にくると、さらに巨大さを感じる。

おそらく、モスクとしてはブハラ最大で、サマルカンドのビビハニム・モスクに匹敵する大きさ。

マドラサ(神学校)ではなく、モスクなので、規律は厳しい。

私のカッコウは、一番右上の写真に近いから、入場は許されました。

入場料は15,000スム(180円)。

意外に安いです。ビビハニム・モスクの5分の1。

直射日光と、石畳からの照り返しをまともに浴びて、やけどしそうな暑さ(笑)

暑い暑いと言ってるけど、それでも40度そこそこ。

どうせなら毒を食らわば皿まで、未体験ゾーンの50度とか味わいたかった。

実際、7月とかには、そのくらいの気温になるらしい。

50度かぁ・・・ちょっと信じられない思いで青黒い空を見上げます。

暑さにたまらず、モスクの下へ。

これまた美しいモザイク模様。

いつも思うけど、モスクの柱のそばにくると、冷んやりする感じを受けるのはなぜだろう。

風通しも考えて作られているので、礼拝者や建築家の知恵なんですね。

モスクだからお祈りしている人がいました。

外に出ます。中央に立つ木も、日陰の役割を担っているかのようでした。

青い空に幾何学的にならぶ回廊。やはりここは宇宙だ、暑いし^ ^

眺めれば眺めるほど美しいミナレット。

モンゴル帝国襲来の際も、この塔だけは破壊しなかったのもうなずけます。

では、ミナレットに一礼して、外に出ましょう。いったん、ホテルに戻るかな・・・

 

カラーン・ミナレットの下にいた飲み物屋さん。

水分補給です。

おつりで、初めて手にした1,000スム。日本円で12円なり。

ミナレットの向かいは、レストランや宝石店が並んでますが、午後の一番暑い時間は店じまいのようです。

では、街が活気づきはじめる夕方までホテルで休憩しましょう。

その頃には、店も開いて、観光客も行き交い、違う表情を見せてくれるはずです。

こんな大きな絨毯、かりに買ったとして、どうやって持って帰るんだろうね(^^)