「サウスダッカ」と呼んでいいのだろうか。
ダッカの旧市街オールドダッカから、ブリゴンガ川を渡った対岸のエリア。
昨夕、夕日を眺めたショドルガットに再び現れたのは、やっぱり渡し船に乗って、対岸に渡ってみたかったから。
あの対岸には何があるんだろうか。
さっそくボラれたブリゴンガ川の渡し船
濃緑色とも茶褐色ともいえる川面に、無数の渡し船が揺れている。
乗ってしまえば、簡単に、それこそ数分で向こう岸についてしまう距離。
しかし、10年前の「地球の歩き方」によると、この渡し船がなかなか強敵らしい。
要するに、ちゃんと交渉してから乗らないと、法外な運賃を請求される可能性があるという。
それだけならいいけど(よくないけど)、船上でトラブルとなって、脅迫されたり、川に突き落とされた事例もあるらしい。
なので、大声で勧誘する船乗りたちの顔をしっかりと吟味し、誠実そうな兄さんの船を選びます。
一声かけると、500タカ(650円)。
なんだそりゃ、いくらなんでも高すぎる。
すると「トゥエンティミニッツ(20分)!」
なんだ? 渡し船のくせに遊覧船か?
私は「ジャスト アザーサイド! ジャスト アザーサイド!」と、対岸を指しながらブロークン(意味もあってない?)な英語を連発。
すると、どこからともなく船乗りでなさそうな別の兄さんが現れ、船頭と交渉してくれて100タカ(130円)。
この兄さんが選んだ船で行くことに。
そして、しっかりと100タカと書いてもらいます(本当はサインも欲しいw)
ところが、船に乗る直前にもう100タカ必要とのこと。
なぜ?と聞くと、このショドルガット・フェリーターミナルには、入場料というものが存在し、それが100タカだという。
たしかに、そんな看板はあるし、そういうものか、と思って払ってしまったが、ターミナル入場料は大型客船に乗る際に必要とされるもの。
河岸から河岸への小舟に、そもそもそんなもの払う必要がなかった。
うまくやられたぜ、このお兄さんに・・・
でも、親切に船乗りを選んでくれたし、対岸に渡りたいだけ、という意図を正確に船頭に伝えてくれたから翻訳料と考えることにしました。
しかし、疲れる^ ^
落ちたくない川「ブリゴンガ川」
しかし、汚い川だ・・・失礼な言い方だけど。
絶対に落ちたくない川。
実際、生活排水などの流入で、魚などまったく棲まない死の川らしい。
でも、この「死の川」を渡って生活している人がいる。
私は、バラナシでガンガーの渡し船に乗った時のことを思い出した。
あの時は、船乗りがしつこく「あと10分!あと10分!」とたくみに遊覧時間を延長させ、ぼったくる商法だった。
それを考えると、さっきの兄さんから「向こう岸に渡るだけ」という真意を正確に伝えられたことは本当にプラス。
船上で拉致されることもなく、いたってふつうに対岸に渡ることができました。
大袈裟に書いてるけど、「地球の歩き方」に、事例も交えて記載してあるということは、用心は必要。
これまで、親切ばかり受けてきたバングラデシュで、無用なトラブルに巻き込まれたくない。
ブリゴンガ川の対岸を歩く
さて、無事にブリゴンガ川の対岸に着いて、少し歩くと、なにやらすごい工場の機械音。
このあたりは造船所、あるいは船の修理工場が連なっているらしい。
だから、路地を歩くと、船に関する、いろいろなパーツを製造しています。
船のスクリューが、無造作に並べられてる不思議な光景。
こちらは「いかり」かな。
高台に立って、ショドルガットの方を眺めます。
あれって、全部遊覧船なんだっけ?
そんなに需要あるのかな・・・
やっぱり、不思議な光景。
そこに、人々の生活風景が加わるから、さらに現実感がなくなる光景。
この河岸の背後には、小さなマーケットがありました。
そこでは、魚が売ってたけど、ブリゴンガ川って、魚獲れるのか?
こちらは、野菜マーケット。
さらに進むと、突然レンガに囲まれた細い路地に迷い込みます。
そして、なぜかアルゼンチナ?
ここからブエノスアイレスまで、16,000km以上・・・
こんなところにもリキシャがいます。
いかんいかん・・・
こんなとこに迷い込んだら、ずっと街歩きをし続けてしまう。
旅人をひきつける魔力をもったダッカの街。
キリのいいところで、ショドルガットに引き返します。
ここで当然、来る時と同じように交渉がはじまるんだけど、来る時に100タカと書いた紙を見せて先制攻撃。
そして、首を振って(YESの意味)あっさり交渉がまとまりました。
ちなみに、100タカというのは、完全に外国人向けぼったくり価格。
地元民は10〜20タカで利用しているみたいです。
ほかの旅行者には申し訳ないけど、私は往復200タカとターミナル入場料100タカの計300タカでブリゴンガ川の遊覧と、対岸の光景を楽しみました。
オールドダッカとは、また違った空気に包まれていた対岸の街。
あのような不思議な空間に触れると、ダッカ以外のバングラの街にも行きたくなる。
でも、私は、今夜のフライトで帰国しなくてはならない。
そして、明日から仕事に戻らなくてはならない。
会社員旅人の宿命です。