こんなに、長い時間バスに乗る旅ははじめて。二晩目の夜を迎えています。
昼も夜も乗りっぱなしだけど、夜は夜で、漆黒の闇の一部にオアシスのような明かりがともり、街があります。
眠っている街が、その瞬間だけ起きる、なんともいえない味のある風景です。
パタゴニアの夜明け
そして、バスに乗ってから2回目の夜明けを迎えました。
空気が澄んでいるからか、息をのむほどの美しさです。
写真の腕が、もう少しよかったらなあ(笑)
席を左側に移して、美しい朝の景色を眺めます。
雲の動きが速い。
ブエノスアイレスから30時間以上走ってきましたが、まだ、陸地は続きます。
マゼランの時代は、飛行機はおろか、自動車も鉄道もなかったんだよね。
当時の人々の距離的感覚って、どんな感じだったんだろうか?
今日は、念願のマゼラン海峡を渡る日ですね。
配られた朝食、というよりスナック。
「GREEN・・・」とあったので緑茶かと思ってお湯を注いでもらいましたが、ただの紅茶でした。
太陽が昇って、地面が見えるようになりました。
不毛の大地が、ますます不毛に。
街が近づいてきた雰囲気。
リオ・ガジェゴス バスターミナルに到着
まもなく、このバスの終点リオ・ガジェゴスです。
ブエノスアイレスから2,800km。
飛行機なら2時間半で来るところを、わざわざバスで36時間もかけて、大地を駆け抜けてきました。
バスは、リオ・ガジェゴスの街はずれのバスターミナルに到着です。
午前7時過ぎ。おおむね定刻です。
36時間の旅は、1台のバスの乗車時間としては、人生最長⁉︎
ここまで、私を運んできてくれたバス。
砂にまみれたタイヤに、労をねぎらいたくなります。
リオ・ガジェゴスは、南部パタゴニアの拠点ともいうべき街。
この街自体には見どころは少ないようですが、ここから、エル・カラファテ、プンタ・アレナス、ウシュアイアなどへ多数のバスが出る、いわばハブターミナルです。
外に出ると、空気がひんやり。
南緯50度より南にきています。
気温はおそらく、5~6度でしょう。ようやく、持ってきたコートが役に立つエリアに入りました。
バスターミナルのすぐ隣は、なんと「カルフール」です。
こういう街でも、ショッピングは郊外型になるようですね。
本日の予定
さて、ここリオ・ガジェゴスからウシュアイアまでは、またまた丸1日がかりの行程。
予約してあるバスは、8:30にリオ・ガジェゴスを出発して、一度チリに入国。そして、もう一度アルゼンチンに入って、ウシュアイアに着くのは20:30。11時間の長丁場です。
でも、ここまで36時間かかって、全然退屈しなかったし、今日は、国境を越えたり、マゼラン海峡を渡ったりで、あっという間の1日になるでしょう。
そうです! 今日のハイライトは、なんといってもマゼラン海峡の横断!
現役時代中に可能な範囲のバケットリスト最上位に位置する、念願のマゼラン海峡にご対面です。!(^^)!
感動して泣くかも(またまた大げさ・・)
地図でみると、こんな感じです。本当に、南米大陸の最南端にいます。
ウシュワイア行きのチケット確保
まずは、ここから、ウシュアイアまでのバウチャーをチケットに替えましょう。
開いてる窓口で尋ねると、指さして「そっち!」。
なるほど、ここからは、向かう場所によっては、チリとの国境を越えます。
それで、窓口が分かれてるのかな。
8時ちょうどに出勤してきたおばさん。
私のパスポートを見て、はるばる日本からようこそ、みたいな笑顔。
チケットは、日本で印刷してきたものを、そのまま使うようです。
そして、くれたチリへの入国審査カードです。
はるばるブエノスアイレスから携えてきたワイン。まだ4分の1ほど残っています。
でも、チリ入国時には、食料などの検査が厳しいと聞いています。ここで、飲んでしまいましょう。
とりあえず、ブエノスアイレスから、リオ・ガジェゴスまで来れたことに乾杯!
ほろ酔いで眺める、リオ・ガジェゴス バスターミナルの風景。
ターミナルの外を散歩。
時間があれば、このリオ・ガジェゴスの町も一回りしたいところですが、そんな余裕はなく、すぐにウシュワイアに向かわざるをえません。
世界一周をしている方のブログをみてると、碁盤の目のような道路があるだけで、何もない町ということになっていますが。
ウシュワイア行きのバスでさらに南へ
おおっ、ウシュアイア行きが来ましたよ。いいバスじゃないですか。
さっきまで乗ってきたバスには及びませんが、フカフカのシート。
乗り心地は抜群。今度は2列×2ですね。
ウシュワイアまで、11時間のバス旅。
乗車率はこんな感じ。
12月~2月ぐらいのハイシーズンになったら、すごい混雑になるんだろうな。
それにしても、今まで乗ってきたバスもそうだったけど、USBなどの電源はありません。
スマホの電池残量には気を使います。
犬に見送られて、リオ・ガジェゴスを出発です。
リオ・ガジェゴスの街並み。
日本と同じような、新興住宅地に見えますね。
10分も走ると、不毛の大地になりました。
検問所の身元チェック
そして、さらに10分も走ると、検問所のようなところに着きました。
この先には、チリとの国境があります。
まだ国境ではありませんが、女性警察官が乗ってきて、乗客の身元チェックです。
乗客全員の身元チェックが無事に終わり、再スタート。
マゼラン海峡から先は島だから、私は今、南米大陸の最南端にいるんですね。
地の果てを走っているような、そんな風景になってきました。
南米大陸最南端という響きが、抽象的ではなく胸に響くすごみ。
地の果てに来た、それを実感させる光景です。
いったい、この先に、何があるんだろう。果てってのは、そんなもんかもしれないですね。
と、思ってたら、動物が現れました。
しかし、そんなことに一喜一憂して、感慨にふけっているのは私だけ。
乗客のほとんどは観光客だと思ってましたが、地元の方でしょうか。
地の果てだ~、なんて騒いでいるのは、よそ者だけですね(笑)
でも、私にとっては、まぎれもなく地の果て。
サングラスを外して、しっかりと目に焼き付かせます。
家というか、農家の倉庫かな。
10月下旬。今は初夏ですが、真冬はどんな光景になるのかな。
天気がよくて最高のクルージングです。
アルゼンチンから国境を越えてチリへ入国
小一時間も走ったでしょうか。モニュメントが現れました。国境をイメージしてるんでしょうか。
チリとの国境に到着しました。
緯度は南緯52度。北半球なら、樺太の北端に相当します。
陸路での国境越えに、わくわくしている自分がいます!(^^)!
肉や果物類の持ち込みはだめよ、って意味かもしれません。
乗客は全員バスを降り、一列になって、アルゼンチン出国の審査と、持ち物検査です。
バスの車掌さんが、検査官にコーヒーをサービス。賄賂かな?(冗談です(笑))
そして、チリ入国の審査。やっぱり、他の乗客は観光客とかではなく、地元の人のよう。
パスポートというより、住民登録票のようなものを提出していました。
チリ入国のスタンプがパスポートに押され、そして紙片をくれました。
これは、大事なものでしょう。しっかりと、パスポートケースに入れておきます。
チリへ入国です。
チリへの入国で、訪問国の数が14になりました。
それにしても、なにもない国境です。
それこそ、小川未明さん著作「野ばら」にでてくるような国境です。
この国境も、ハイシーズンは観光客で賑わうのでしょうか。
今日は、ほとんど地元の人ばかりのようですが、地元の人が行き来するのに、毎回この手続きでは、効率悪そうです。
もう少し、ここにいたかったですが、乗客全員の国境審査があっさり終わり、みんなバスに乗り込みます。
では、アルゼンチン・チリの国境に別れを告げて・・
これって、私にとっての旅そのもの。なんか、ほんとに旅してる気分だなあ・・
旅って、ほんとに気持ちいいわ・・