さて、周荘古鎮を3時間にわたって歩き回り、900年からの歴史ある水郷をすっかり堪能。
日本国内の旅がロクにできてない私が言うのもはばかれるが、この光景はアジアの風景といえども日本では見られない。
時刻は15時。
そろそろ、今夜の宿泊地「西塘」へ向かいますか。
西塘もまた、上海郊外の有数の水郷古鎮。
日没前に乗り込んでいって、水郷古鎮の夜景を鑑賞してみようという魂胆です。
「高徳地図アプリ」を過信しタクシー難民に
正確に言うと、過言ではなく、単なる私の油断だったわけですが、周荘から西塘へ向かう途中で大変な目にあいました。
周荘と西塘は、同じ上海の西の郊外の水郷古鎮。
直線距離では30キロほど。
グーグルマップを見ても、30キロあっても道順は簡単だし、バスがあればバスで行って、行き詰まればそこでタクシー・・・
そんな感じで、最初は甘く考えてました。
午前中にセットアップした「高徳地図」も、バスを2回乗り継いで1.5時間ほどでたどり着けることを示唆してます。
バスの車窓には、周荘から離れていくことの余韻を感じさせる水の多い風景。
で、アプリの指示通り、乗り換え地点でのバスを乗り換えようと降りたところ、なんと、本日のバス便はなし。
仕方なく、タクシーでもひろうか、と10分20分待てども、いっこうにタクシーが通らず。
完全に交通機関難民になりました。
上海の浦東空港についてから、あまりにも順調に公共交通機関乗り継ぎで周荘まで来れてしまったので、少々甘く見てました。
この地点から西塘まで約15キロ。徒歩3時間と出ています。
ちなみに、高徳地図アプリでのバス乗り継ぎの画面には、時刻の確認には注意を要すと表示されていた模様(確かなバス便がある場合はしっかりと表示される)で、中国語の読めない私の完全なる見落としでした。
どうすることもできず、西塘とおぼしき方角へ歩き出しました。
中国大陸の、こんななにもない道を、たった一人でテクテク、というのは何気に怖いもの。
そして、この週末弾丸旅で、こんなシチュエーションは想定していなかった。
そして、歩いている場所は、上海郊外の水郷だから、こんな橋を何度も越える・・・
15キロ歩くのはなんとかなっても、途中で日が暮れてしまうだろうな・・・
古鎮の夜景を眺めたいと思ってた目算が外れちゃったな・・・・
呆然と上海郊外の道をただひたすら歩きます。
こんな道にも監視用(かどうかわからないけど)のカメラが設置されていて、公安の詰め所も。
公安の人、出てきて、難民の私を救ってくれないかな・・・誰もいなかった
バス停が現れた・・・最終バスの時間を過ぎてました・・・
孔子のようなおじいさんが登場&ヒッチハイクで救われる
歩きはじめて小一時間ほどたったころだろうか。
前方から来た軽自動車とすれ違ったかな、と思うと急停車。
そして、窓が開いてなにやら声をかけてきます。
なんだろうと思ってると、バックして近づいてきたクルマの窓が開いて「乗りなさい」との手招き。
今まで旅を繰り返してきて、ほんとに身についたな、と思うのが、人を見る目。
「乗せていってやるよ」と言ってくれている表情に下心はない。
インドでこれをやられたら、警戒心120%なんだけど、このおじいさんの優しそうな目と、長年人生を歩んできた頬の柔らかそうな年輪は、素朴な親切心で私に話しかけていることを物語っていた。
翻訳アプリで「西塘」と見せると、「うん」とうなずいて、すぐにクルマをUターンさせてスタート。
このときの私の心境は、うまく言葉にすることができない。
クルマの中で、何度も「お礼はどうすればいいの?」とか、呼びかけるんだけど、すぐ手を振って「そんなのいいんだ」という感じ。
そして20分ほどで、おじいさんの運転するクルマは、西塘の街の入り口に入りました。
歩いたら、ほんとこれ、3時間以上かかってただろうな・・・
西塘の門の前で下ろしてもらい、私としても最大限の敬語でお礼を言ったつもり。
ほんとに春秋時代の孔子のようなおじいさん。
年の功なんていうけど、年を取ったらこうありたいな、と思わせるおじいさん。
ふたたびUターンして、帰っていくおじいさんのクルマ。
中国社会はきずなやコネで動いていると聞くけど、このおじいさんは、過去に日本人に親切にされたとか、そんな経験があるのだろうか。
私も、日本で中国人が困っていたら、親切にしてあげたい、そんな気持ちになりました。
孔子のおじいさんのおかげで、水郷古鎮「西塘」は、まだ夕暮れ前の16時半。
これなら、日が沈んでいく水郷を鑑賞できるかな。
まずは、ホテルに荷物を下ろしましょう。
ここが予約した「西塘賓館」。
西塘の古鎮のすぐ入り口にあるホテル。
ホテルスタッフも親切で、翻訳アプリで「17時になってから古鎮に入れば無料です」と教えてくれた。
中国人の人たちの親切心に包まれて、こんな幸せな週末弾丸旅もめずらしいよ(^ ^)