ウズベキスタンの首都タシケントから、サマルカンドを経由しブハラまで。
この600kmの距離を高速で走る列車が、ウズベキスタン国鉄の看板列車「アフラシャブ」号だ。
線路そのものは旧ソ連時代に敷設され、ウズベキスタン独立後には自力で高速走行化を図ったようで、「アフラシャブ」号は2011年から走りはじめた。
そして、サマルカンド〜ブハラ256kmが延伸開業したのが2016年。
これから私が乗るのは、まさにその延伸開業部分サマルカンドからブハラまで。
最高速度は時速260kmの高速列車である。
ところで、列車の予約はウズベキスタン鉄道のアプリやwebサイトではなく、専門の旅行会社にオーダーした。
何度か試みたものの、VISAやアメックスで決済できなかったから。
では、当日買えばいいじゃないか、と思うんだけど、「アフラシャブ」号はなかなかの人気列車で、時間帯によっては、簡単に売り切れることもあるらしい。
このウズベキスタンの旅行会社は時刻表も掲載していて、私はサマルカンド11:03発の列車を予約した。
40日前から予約できるものの、その時点でビジネスは満席。
やむなくエコノミーにしたけど、人気列車というのは本当らしい。
ちなみにその旅行会社のサイトはこちらです。

「赤帽」ならぬ「青帽」がいたサマルカンド駅ホーム
さて、改札がはじまってホームへ。
やっぱり人気列車。乗客が大勢います。
サマルカンドを11時に出て、ブハラに午後着くという、観光客にとっては手頃なダイヤなのでしょう。
しかし、本日も暑いサマルカンド。乗客は日陰に避難です。
これは、タシケントから走ってきたアフラシャブ号かな。
両端が機関車という客車列車。欧州風ですね。
車軸を見て驚いた・・・一輪しかない(^ ^)
走行音は、どんな音がするんだろ?
乗客はほぼ観光客だから荷物も多い。
この青い帽子をかぶったスタッフがポーターさん。
その昔、日本にも「赤帽」と呼ばれたポーターがいたらしいけど、こちらは「青帽」です。
サマルカンド⇒ブハラ アフラシャブ号の旅
警笛を鳴らしながらアフラシャブ号がサマルカンド駅のプラットフォームに入ってきました。
尖った口先がかっこいいな。
私の座席は5号車です。VIP車両が通り過ぎて行きます。
低いホームは列車旅の雰囲気があって、私は好きだけど、列車の扉とツライチのほうが、乗客も列車スタッフもラクなはず。
でも、これが欧州の文化なのだろうか。
実際、重い荷物を抱えて乗り降りするのは大変。車掌さんも大忙し。
車内に入ると、冷んやりとした冷気に包まれてホッとします。
私の席は27。
先の旅行会社はとても親切で、窓際、通路側だけでなく、進行方向の右側、左側などまで指定できます。
私は進行方向に向かって座って、左側の窓際を選びました。
座席は、これも欧州によくある車両中央で座席の向きが向かい合ってるタイプ。
発車しました。
車内はほぼ満席。予約しておかなかったら乗れなかったかもね。
ブハラまで256キロ、1時間43分の旅がはじまりました。
車両の中央には、モニタがあって、ウズベキスタンのドラマかなにかが流されてます。
車内販売がアイスクリームを売りにきました。
日本では風前の灯火なサービスなので、思わず買ってしまいます。
驚いたことに、物売りは1人や2人ではありません。
何人ものスタッフが、アイスクリームやらフルーツやら飲み物を売り歩いています。
乗客は、ほぼ全員観光客だからかな。
私が物珍しそうに眺めてると「ほれ、写真撮りな」とサービス精神も抜群です。
サマルカンドを出ると、すぐに砂漠の中を突っ走るのかと思ってたら、
意外にも牧草地帯を走り抜けます。
けっこう線路脇にも動物がいます。線路に入ってこないかな、大丈夫?
遊牧民が住んでそうな集落が現れることも。
かつてのシルクロードを高速列車で走り抜けるなんて、ロマンを感じるよね・・・
でも、窓外を眺めて楽しんでる人間は私くらい。
みなさん、スマホとにらめっこ。
ゼラフシャン川から引いた貯水路のようですね。
ブハラまでノンストップかと思ってたら、列車が速度を落としました。
それにしても、すごいタンク車。たぶん30両以上つながってた。
なんで止まったのかわからないけど、信号場のような駅。
ふたたび走り出します。
集落があれば、モスクもあります。
にわかに車窓が乾きはじめました。
このあたりからブハラまでは、砂漠地帯のようです。
260キロも出してるのに、列車はまったく揺れません。快適そのもの。
車軸一輪のレール音はというと、タタンタタンでなく、タンタンタンタン・・・とひたすら続くので眠くなってきます^ ^
でもね、このなにもない砂漠を、すごい速さで駆け抜けていく、非現実的な体験が楽しい。
256キロを1時間43分だから、表定速度は149キロ。
夏には気温が50度以上にもなるこの地域。
レールの保線も大変だと思われます。
それでも、日本で256キロは、東京〜浜松とほぼ同じ距離。
「ひかり」は1時間24分で走破し、料金は約8,000円であることを考えると、ウズベキスタンの高速鉄道はがんばってると言えるんじゃないかな。
湖かな?
Googleマップで確認したら貯水池でした。
ブハラの街を潤す天山山脈の雪解け水。
まもなくブハラです。列車が速度を落としました。
ブハラ駅に到着です。
ブハラ駅での写真撮影会
冷房の車内から外に出ると、さすがに暑い。
この列車は終点なのかな、乗客のほとんどが降りました。
列車の側面に描かれたTalgoの文字。車両はスペイン製でした。
心拍音に似て、睡眠を誘うような乗り心地だった一軸車。
アフラシャブ号を先頭からじっくり眺めてみたい。
警官もいるけど、旅行者もいっぱいいるので大丈夫でしょう。
ウズベキスタンの鉄道で、こんなに堂々と撮影大会ができるなんて、隔世の感があります。
なにしろ、数年前に書かれた旅行記でさえ、鉄道駅での撮影を咎められ、画像消去なんて当たり前でしたから。
へたすりゃ、拘束でした(^ ^)
高速列車を撮って、拘束されたらシャレにならないww
線路幅は日本の新幹線と同じ。でもなんとなく細面に見えるのはなぜだろう。
それにしても精悍なスタイルの機関車です。
ヨーロッパの長距離列車は、途中で切り離して各国へ向かうことが多いから、客車となってるみたいに私は理解してるけど、こういう固定編成でも客車にするんだよね。
側線には、それこそ昔ながらの客車が停留しています。
明日の夜は、寝台列車でタシケントに出る予定です。楽しみですね。
ブハラ駅の駅舎。
駅名はブハラだけど、町の名前はカガン。
ブハラの街は、ここから北西へ15キロほど。
街に出るには、タクシーを使う必要がありそうです。
ここでひとつ誤算が。
のんびりと撮影大会を演じていたものだから、yandexgoの配車が全部出払ってしまった。
あれだけの観光客を下ろしたんだから当然ですね(^ ^)