さて、シルクロード・ドライブの続き。
SIMがないので、標高はわからないけど、かなり高くなってきた雰囲気です。
まもなく、ドウシャンべ⇒ペンジケントの最高地アンザーブ峠を越える頃。
ドウシャンべを出てから約2時間です。
ところで、どうでもいいことですが、運転している兄さんとは、一度も口を聞いていません。
彼は英語を理解しないし、私はタジク語が一切わからない。
そして、彼は急峻なワインディングロードで運転に集中。
私は見事な山岳道路に感嘆しながら写真撮影に夢中。
したがって、ドウシャンべから2時間、まったくの無言劇(^ ^)
かつての難所アンザーブ峠を越える
ドライバーには、絶対に居眠り運転してほしくないような道。
無理な追い抜きもしてもらいたくない。
なんといっても、ガードレールないですから。
長そうなトンネルに入ります。
トンネルというより坑道といったほうがしっくりくるトンネル。
昔はこのトンネルがなく、峠越えは本当に大変だったらしい。
けっこう長めのトンネルを出ると、道は下り坂に変身。
こんな高所にも、住んでいる人がいるらしい。
そして、一気に急になる下り坂。
道幅が狭く、ガードレールもないので、助手席の窓から崖の下を見やることができる。
これはすごい断崖絶壁だ・・・
かつてはトンネルもなく、そして道も未舗装だったとのこと。
この道路が未舗装だったら、まさにラリーもどき。
そんな急峻な崖なのに、行き交うクルマが多いのも不思議。
これから通るであろう道が眼下に見えます。
これはすごい・・・
こんな道、通ったことないです・・・自分で運転してみたかった^ ^
川の流れが逆になってる。やっぱり分水嶺を越えたみたい。
ペンジケントまで125kmの標識を見ました。
雪解け水の川沿いドライブ
名前はわからないけど、小さな集落を通過。
バスストップもありました。
馬や牛も生活の一部なんでしょうか。
集落の中心部を通過。
「この町は埃っぽいんだよ」と言ってるような光景。
露店も現れます。
交通量多いし、おいしそうな果物が並んでるし、ドライバーが買っていくのかも。
町並みが途切れ、ふたたび姿を見せる川。
雨も降らない地域に川が流れるのは不思議だけど、これは天山山脈系の万年雪を源とする雪解け水。
新疆ウイグルや中央アジアのこうした川は、海に注ぐことなく、シルクロードのオアシスを潤した後、砂漠に消える川です。
まさに、「恵みの川」ですね。
私も恵まれてる。
こんな特等席でドライブなんて、そう経験できるものではない。
120ドル投資した甲斐がありました。
この景色を見てると、川があるから谷が作られる。
そしてそこに道路を作ることができる。
そんなことが体験的に理解できます。
川がなかったら、道なんてできなかっただろうな。
ワインディングロードに落石注意は、万国共通の標識ですね。
川の流れを眺めながら、ふと思う。
気持ちの問題だけだと思うけど、私はシルクロードという旅人が往来することによって育まれた文化や知恵は、馬車道に残る轍そのものだと思う。
だから、今回の旅、時間的にも資金的にも、ハタから見ればムダに思えるルートを選んだ。
そもそも旅というのは、旅人の数だけ価値観があり、要するに旅人がしたい旅をすればいいだけ。
今日は月曜日。
同僚たちがガタガタ仕事してるのに私はユーラシア大陸をドライブ。
でも会社員の夏休みは、みな均等に与えられるから、まったく罪悪感なし(^ ^)
時間とお金をどう使うかは自分次第。
価値観の多様化が当たり前という素晴らしい時代に生きていることを誇らしく思う。
大自然を前に達観的な気分になりました。
険しい谷を通り過ぎ久しぶりに現れた、少しまとまった集落。
Googleマップをオフラインで見ると、アイニという町のよう。
町の中に入りました。
ここは、道が分かれる交通の要衝のようです。
カーナビのないクルマ。運転手が念のためか道を聞いてました。
アイニ町、あるいはアイニ村?
このアイニ町を過ぎて、クルマは、ほぼ真西を目指すようになります。
ペンジケントまで100kmくらいだろうか。
クルマは、ふたたび険しい山岳路へ分入っていきます。
運転している兄さんとは、相変わらず会話なし。
今までも、チャーターしたタクシーなどで、車内で数時間1対1になったこともあった。
その場合、たとえ言葉が全く通じなくても、「お茶していくか」とか「ちょっとトイレ休憩しよう」とか、そんなコミュニケーションが勝手に発生するものなんだけど・・・
兄さんは、黙ってハンドルを握ったまま。
4時間もの間、ひとことの会話もないドライブは初めての経験。
シルクロードのオアシスのような集落。
岩むき出しの山肌といい、緑豊かに立ち並ぶポプラといい、低い屋根といい、
これがシルクロードの街なんだな、と勝手に感動に浸ります。
Googleマップを見ると、町に名前はついてるけど、ホテルはないみたい。
流れている川はゼラフシャン川。
このゼラフシャン川は、このまま西へ流れ、ペンジケントの町を潤したあと、そのまま国境を越え、サマルカンドやブハラの町をも潤します。
久しぶりに現れた標識。
マップによると「ウアタ」という集落らしい。
おや、あれは「ペンジケント」と書かれているみたい。
地図によると、ペンジケントまであと50キロ。
ペンジケントに近づきつつあります。
ペンジケントの構成集落に入ったのかな。
そんな感じに、クルマや道ゆく人々、人工物が増えはじめました。
でもまだペンジケントまでは20キロ以上あります。別の集落。
日陰にあつまって露店を開く人々。
雑貨屋さんもあります。
ここは、なんという町なんだろう。
町を離れ、クルマはふたたび郊外へ。
ゼラフシャン川の川幅も広がったような気がします。
ペンジケントまで16キロ。ここで、はじめて兄さんが口を開きました。
「ホテルの場所はどこなんだ?」
Googleマップで、場所を示します。
おお、見事な崖・・・
クリフといったほうがぴったりな景観です。
ペンジケントまでもうすぐのところで、こんな景色に出会うとは思いませんでした。
材木かと思ったらレンガでした。鋪道に使うのかな。
タジキスタンの女性の民族衣装は素敵です。
ドウシャンべから5時間。
朝も早かったので、ついウトウトっとすると、クルマはペンジケントの街中に入ってました。
このドライブで、はじめてみたクレーン。
そしてクルマも渋滞しはじめます。
どうやらあれが町の中心部バザールらしい。
今までの道中、町や村はあったけど、やっぱりペンジケントは町の構えが違う。
人口は約3.3万人のペンジケント。
月曜日の日中なのに、活気があります。
街歩きが楽しみです。
そしてホテル前に到着。
5時間の運転お疲れ様。会話のなかった兄さんだけど、握手して別れます。
これからあの山道を、また5時間かけて帰るんだよね。ほんとに気をつけて(^ ^)