面積68,800平方キロメートル。アフリカ大陸最大の湖ビクトリア湖。
この琵琶湖の約100倍、九州に四国を足した面積よりもさらに広いこの湖は、地球儀で見てもこの通り。
アフリカ大陸に土手っ腹を開けたかのような、圧倒的な存在感のある地形です。

東アフリカを陸路で旅するなら、一度はこの湖を見ておきたい。
そんな思いで、私はビクトリア湖畔の街ムワンザへやってきました。
ビクトリア湖を眺望できるスポットへ

東アフリカのバス旅で立ち寄ったムワンザという街。
というよりも、ビクトリア湖畔の街に立ち寄りたくて、ムワンザをチョイスしたといっていいでしょう。
当初の計画では、ケニア&ウガンダ回り。
つまり北側からビクトリア湖にアプローチするつもりが、エボラ出血熱の感染拡大でウガンダへの入国が阻まれたので、南回りのムワンザを経由することにした次第。
まあ、東アフリカを旅している旅人が、ビクトリア湖を眺めないわけにはいかないでしょう。
ビクトリア湖といえば、やはり夕日が綺麗なことで有名なので、日中の今、展望台から眺めてみることにしました。

「展望台」と書きましたが、実際のところ、どこに正式な展望台があるのかはよくわかりません。
Googleマップを頼りに、湖の見えそうな高台へ向かってみることにしました。
ダウンタウンから約2.5km。歩いて30分ほどの距離です。
歩くにつれて、道端にはムワンザらしい巨岩が現れます。
ビクトリア湖周辺は、緩やかな地殻変動でできた盆地だといいます。
その地形の名残なのか、街のあちこちに、地球の芯がそのまま顔を出したような岩が転がっていました。

やがて、木々の隙間から青い湖面が見えました。
路地の両側にはハイビスカスなどが咲き乱れ、日差しの強さも相まって島旅をしている気分です。

護岸工事なのか、リゾート開発なのかわからないけど、木々の隙間からビクトリア湖をのぞいていると、工事のお兄さんが工事柵を開けてくれて「ほら!撮れ!」と一言。

そして「もっと上の方が見晴らしがいいぞ」と教えてくれました。

地図好きな旅人がビクトリア湖を前に頭に浮かべたこと

眼下に広がるビクトリア湖。
ビクトリア湖は、まん丸のように見えて、実は無数の入江が刻まれています。
ムワンザもムワンザ湾という切り込んだ入江に面した街なので、広い意味での対岸を臨むことはできません。
しかし、地図を知っている者にとっては、その向こうにケニア、ウガンダ、ナイル、そして地中海までがつながって見えてくる特別な場所なんです。

たとえば、地理的なことを言うと、ビクトリア湖は白ナイル川の主要な源流のひとつ。
古代エジプト文明を育んだナイル川が、いったいどこから流れてくるのか。
その謎は、長い間、人類にとって大きな地理的ミステリーでした。
その出発点のひとつを、いま私はムワンザの高台から眺めている。
そう思うと、やはり感動を禁じ得ません。

見えているのは、穏やかな湖面です。
けれど、頭の中にアフリカ大陸の地図を広げると、その青い水面が、急にとてつもないスケールを持ちはじめる。
この穏やかな湖水は、これから約6,600キロもの旅に出て、いくつかの滝を落ち、サハラ砂漠を縦断して、地中海へ届いている。
人類の歴史が始まる遥か昔から、この大いなる循環は一日たりとも休むことなく、この場所で繰り返されてきた。
決して派手さはないけど、地球が動いている、静かな躍動感を感じます。
こんなことを考えていると、今度は白ナイル川の伴侶ともいえる青ナイル川と合流する、スーダンのハルツームの街も歩いてみたくなってくる。
地図が好きな旅人としては、湖を眺めているだけで、実に色々な空想が脳裏にわいてくるのです。

ウガンダ行きをあきらめたので、ムワンザに立ち寄ったと書きましたが、ビクトリア湖をナイル川の出発点と考えれば、こちらのほうが300kmも源流に近い。
大自然の営みを第1幕から見れた気もするし、ムワンザの街に転がる無数の巨石は、そんなナイルの長大なドラマの『出発の号砲』を見守る巨大な観客のようにも思えるような、ビクトリア湖の眺めでした。

実際、ビクトリア湖岸には、巨岩がゴロゴロしています。

その地球の骨格ともいえる巨岩と、建設中の人工のコンクリートの妙な対比。

リゾートマンションなのかな。
モシの街でも思ったけど、ビクトリア湖が見える側と反対側では、値段に倍近い差が出そうです。

ダウンタウンに帰ってきました。
これは、かつてビクトリア湖まで敷かれていた鉄道線路。

その線路沿いの人の営み。

モシの街でも盛んでしたが、ムワンザでも洗車場が大活躍。
クルマをこまめに洗うのは日本人くらい、という勝手な先入観がありましたが、日本車を洗ってくれてると、私も気持ちよくなってくる。

さて、もうお昼どき。
ランチの前に、のどがかわいた。

ふつうに街中でビールが売られてるのが嬉しいな。

標高1,140m、軽井沢と同じくらいの高さと言っても、緯度は南緯2度。
ほぼ赤道直下。気温は30度近いし、日差しも強く、つまり暑いんです。
よく冷えたハイネケンを、一気にのどに流し込みました。

ビクトリア湖名物の淡水魚「ティラピア」を食べてみる

さて、ランチですが、これは、ビクトリア湖で獲れる魚を食べようと決めてました。

食べたい魚はコレ。ビクトリア湖名物のティラピアです。

ホテルのすぐ目の前の通りを入った開放的なレストラン。
どこからか、湖からの風が吹き込んできて涼しいです。

スタッフに、なじみの客の注文のように「ティラピア」とオーダーすると、どんな味付けにするのか、サイドメニューは、いろいろ聞いてくる。
しかも、それが英語じゃないので、お任せすると、でてきたのがこちらです。

おお、皿の上にドカンと置かれた魚の丸焼きなんて、久しぶりのご馳走。
見た感じ、ケチャップの煮付けみたい、これは間違いなく美味そうだ。

ビクトリア湖に生息、そして名前が「ティラピア」なんて聞くと、なんだか獰猛な、あるいはゲテモノのような風貌を想像してたけど、そんなことはない。
たしかに、鋭いトゲの生えた背びれは精悍な姿態だけど、日本でも釣れるクロダイにも似ていて親しみやすい素揚げでした。

キャッシュで支払ったので、値段を忘れてしまったが、たしか20,000シリング(1,200円)だったと思う。

口に運んでみれば、クセのない純白の白身。
形も鯛に似てるけど、食感もマダイのように、ほのかな甘味と旨味があります。

そして、すでに慣れたタンザニアの米と野菜炒めのセット。
これがまた、白身魚を引き立てます。
途中から、ティラピアのあっさり味が少々物足りなくなり、魚だけでなく、野菜にもチリソースなどをつけて楽しむうち、あっという間に完食です。
魚は箸で食べたいけど、ここはアフリカ、郷には郷で。
では、ホテルに戻って、少し休憩しますか。
東アフリカの旅は、まだ続きます。
