「韓国展望所」での滞在時間は10分。
でも、どんな絶景であれ、10分もあれば、十分に堪能できてしまうのが一人旅の特権。
少なくとも、この10分間誰も来ませんでしたから。
ところで、なぜ10分なのかといえば、もうすぐ比田勝行きの循環ミニバスがこの下を通るから。
循環バスを手を挙げて止める
けっこう寒いんです。3月の対馬。コートを着ている私。
さて、ここまで送ってくれたタクシーの好意を無にしないためにも、バス通りに急がなくては。
朝7時に比田勝に着き、町をさらっと見学した後、見たものは「韓国展望所」だけ。
でも、早めに、対馬の中心である厳原に行っておきたい。
バス通りに出たところで、エンジン音が聞こえ、トンネルからバスが現れる絶好のタイミング。
ちなみに、バス停はありません。
タクシーの運転手が「手を挙げれば止まってくれるから」と言ってましたが、手を挙げてバスを止めるのは、日本国内では初めての経験(^^)
無事に、時刻表に載っていないバスに乗り込めました。
このバスは、比田勝を8:32に出る厳原行きのバスに接続します。
すべてが順調に運んで一安心。
比田勝から朝早く厳原に行きたい人をひろうための循環バスなのでしょう。
けっこう細い路地にも入ります。
と思いきや、いきなり「東横イン」が現れてびっくり。
そして、比田勝のバスターミナルに到着し、厳原行きに乗り換えます。
厳原行きのバスに乗り込み、最前列の特等席に陣とったところで、さっきのタクシーが送迎を終えて帰ってきました。
そして、私の姿をみとめ、「お、ちゃんと帰ってこれたな。」とにやり。
私も、手を振りながらお辞儀を重ねます!(^^)!
国道382号線 対馬縦貫路線バスの旅スタート
さて、いよいよ、細長い対馬を縦に結ぶ国道382号線のドライブ。
比田勝から厳原まで約80キロ。約3時間の路線バスの旅です。
路線バスに3時間乗りっぱなしというのは久しぶり。
しかし、最前列の特等席です。対馬の自然をじっくり眺められるでしょう。
お得な対馬交通の「1日フリーパス」
運転距離の長い、比田勝~厳原の正規料金は3,400円。
ところが、さっきの循環ミニバスを降りようとしたときに、こんなフリーパスを売ってくれました。
1,040円で対馬のバスを1日乗り放題。
しかも、さっきの循環バスもこれで対応してくれた、すごく親切な「対馬交通」。
地域住民も、こちらを使ったほうがお得に思える割引率です。
バスは、まっすぐ南下するのではなく、国道382号線に沿って、いったん西海岸に出るようなルートを走ります。
したがって、さっきタクシーで韓国展望所に行った際、大浦という集落までは同じ道を走ります。
韓国展望所へは、ここを曲がったんですね。
このあたりから、バスは進行方向を南へ。
そして山にかかります。
真新しいトンネル。
失礼ながら、人口27,000人の島とは思えないほど、道路は整備されています。
長いトンネルを抜けて山あいへ。
佐須奈(さすな)という、カッコいい地名。
ハングル語が飛び込んでくるのにも驚く。
佐須奈は、入り江がえぐりこむ天然の良港。江戸時代には、鎖国でありながら朝鮮へ開港されていた漁村。
国道382号線の看板と、十八親和銀行のATMと、死亡事故ゼロ記録1,092日の標識。
佐須奈を出ると、またバスは山にかかります。
トンネルを抜けると、いきなり杉林の中。
比田勝行きの姉妹バス(たぶん)とすれ違います。
このあたりから、農村が広がるようになります。
「冷めても美味しいお米」がキャッチフレーズの佐護米の産地。
見事な杉林。
御嶽やまねこトンネル。
このトンネルの東には、標高479mの御岳があります。
まだ、比田勝からの行程は3分の1ほど。
入り江とも川ともつかぬ水路に沿います。
それにしても、最前列でのバスの旅は楽しい。
思う存分、対馬の景色を満喫。
田という地名。
ハングル語だと、こうなります。
豊崎神社で祀っていた豊玉姫かな。
ここで、ようやくバスが停車。おばさんが一人乗ります。
信じられないかもしれませんが、比田勝からここまで乗客は私一人だけ。
そして、信号以外の停車はありませんでした。
小雨がぱらつくのと同じく、バスは仁井の町へ。
ここでバスは、なんとトイレ休憩。
トイレ休憩をはさむ路線バスははじめて。しかし、私と、さっきのおばさんしか乗っていない。
3時間がかりの移動だと、そういう配慮も必要なのかな。
私は、トイレより、お腹すいてきた(^^)
だって、朝ごはん食べてませんから。
少し休憩して、仁井のバスターミナルを発車。
比田勝~厳原の、残り半分です。
経営統合に公正取引委員会の審査がうるさかった十八親和銀行。
たしかに、島に金融機関ひとつだと、いろいろ問題あるかもね。
こんな古いトンネルもあります。
雨模様です。なぜか、日本の旅は、晴れてるより雨のほうが似合う気がする。
最初見たとき、「海底」かと思った。
このあたりは、両岸に海が迫る、対馬においてももっとも狭い部分。
小船越という集落。
両岸に海が迫っているので、小さな船の場合は、ロープで引っ張って陸を越していた。
それで「小船越」という名前が付いたそうです。
わが千葉県以外にも「犬吠」という地名が、と思ったら、読みは「いぬぼえ」でした。
万関橋を過ぎ3時間の旅ラストスパート
どんよりした空に真っ赤に映える「万関橋」。これが見えればラストスパートです。
こんな感じにね。それにしても、この地図かわいい。
ラストスパートと、はやる気持ちを抑えるように、バスは空港に寄り道。
絶滅危惧種の「ツシマヤマネコ」をもじったネーミング。
これまた、こじんまりとしたかわいい空港ターミナルでした。
久しぶりに見るANAの尾翼が立派に見えます。
国道382号線に戻ります。比田勝と厳原の間は、80キロと思ってたら90キロのようです。
厳原の南にも島が広がっていますから、大きな島対馬。
この料金、フリーパスでもないとちょっと払えないよね(^^)
厳原の町に入ったみたいです。
東横インなんて、現れなくてもいいのに。
そしてバスは、厳原の観光情報館に併設のバスターミナルに到着。
比田勝から3時間弱。楽しいバス旅でした。
バスで移動しただけでも、対馬の自然の豊かさと美しさがわかります。
さて、町を歩く前に、予約してあるホテルに荷物を下ろしにいきますか。