サマルカンドの英雄が眠るアミール・ティムール廟【ウズベキスタン旅行記 #2】

サマルカンドに着くなり、病院を探したり、薬局を探したりとドタバタでしたが、なんとか両足の応急措置も完了。

あらためてサマルカンドの街歩き開始です。

8月のサマルカンドは日没が20時、日の出は5時と、弾丸旅行者にとっては時間を有意義に使える嬉しい日中の時間帯。

もっとも北緯39.7度は日本の秋田と同じで、日の出が1時間遅い分日没も遅い、それだけのこと。

でも朝4時から行動するわけではないから、夕暮れが遅いこのほうがいい。

明後日おもむくブハラはさらに西になるので、もっと日没は遅くなります。

夕陽に輝く青いアミール・ティムール廟

 再び三度、レギスタン広場の前を通ります。

時刻は17時になろうかというのに、まだ気温43度もあるサマルカンド。

でも、日が傾いて、日陰が長くなると、気分的に涼しくなる。

そうなんです。

湿気をまったく感じないので、日本の暑さとは全然違う。

日本は今年の夏、各地で40度超を観測したそうですが、こちらの43度は快適です。

といいつつ、直射日光にあたれば、そりゃ暑いですが(^ ^)

夕涼みのカフェ。

ビール24,000スムは280円。いっぱいやってからアミール・ティムール廟に行きたくなる。

そして新市街に少し入ったところにあるアミール・ティムール廟。

さっき病院を探して、前を通り過ぎた時はガラガラでしたが、やはり夕暮れとともに観光客が増えています。

チケット売り場。

75,000スム(880円)と、けっこうします。

でも、それもそのはず。

ここはサマルカンドの英雄、そしてティムール帝国の創始者、アミール・ティムールの一族が眠る廟ですから。

それにしても、すごい。

雲ひとつない青い空に、青いモスクがとけこんでる。

チケットを見せて、門をくぐります。ここが中庭。

タジキスタンでは、町の公民館的な素朴なモスクしか見なかった。

サマルカンドのモスクは、礼拝所でもあり、芸術品でもあります。

女性用のスカーフが売られてました。

この、ひとつとして同じ形のない手作りのモザイクが素晴らしい。

では、廟の中に入りましょう。

廟の中にもお土産屋さん。

さすがモスクの中は冷んやりしてるな、と思ったら、冷房が入ってました(^ ^)

ティムール帝国の創始者、アミール・ティムールの肖像画です。

そもそもティムール帝国について、簡単におさらいすると、きっかけとなったのは、やはりモンゴル帝国。

中央アジアの歴史を語る上で、チンギス・ハーンの存在は避けられないようです。

モンゴル帝国が西方へ遠征し、1220年サマルカンドはその標的となりました。

サマルカンドは当時、イスラム文化において屈指の大都市で、また商業と学術の中心地でしたが、モンゴルの猛攻の前に陥落。

住民の多くは虐殺され、モスクや神学校、図書館なども破壊され尽くしたといわれています。

その破壊は、文化的にも精神的にも、この都市に深い傷跡を残しました。

この荒廃したサマルカンドを蘇らせたのが、ティムール(1336ー1405)です。

ティムールは、シャフリサブスというサマルカンドの南の街に生まれ、トルコ系の遊牧部族の長として、チンギス・ハーンの血は引いていなかったものの後継者を自称し、「アミール(総督)」として勢力を広げていきました。

復興にあたって、やはりサマルカンドはイスラム圏における交易路の要衝であり、ティムールはこの地を拠点に、自らの帝国の中心として再建することを誓います。

ティムールは軍事的には非常に苛烈な人物で、多くの周辺都市を攻略・破壊しました。

しかし一方で、征服地から建築家、職人、学者をサマルカンドに連れてきて、文化・芸術都市としての復興を図ったのです。

これにより、かつてチンギス・ハーンが破壊した都市は、ティムールの手で「青の都」として蘇ったわけです。

ティムール一族が眠るグル・アミール

さて、ティムール一族のお墓のあるモスク内部に一歩入ると、さすがにまばゆさに驚きます。

そのまばゆい金箔の下にひっそりとたたずんでいるのが、9つの棺。

真ん中にある黒い翡翠の棺がティムールの墓です。

ちなみに、グル・アミールとは、タジク語で「支配者の墓」を意味します。

一族の誰がどこにおさめられているのか、記載されてました。

グル・アミール廟は、もともとはティムールの孫ムハンマド・スルタン(③の墓)のために建てられたものでした。

しかし運命は皮肉にも、遠征先で病に倒れたティムール自身がこの廟に葬られることとなります。

天井を見上げます。

これだけ金ピカでも、嫌味にならないのがイスラム建築の素晴らしさだと思う。

まばゆいモスクから出ると、夕方でもまだまだまばゆい陽の光が斜めに降りそそいでました。

まだ40度くらいはあるでしょう。それでも、日中よりははるかにしのぎやすい。

中央アジアの草原にその名をとどろかせた英雄の廟に一礼。

一礼しても、美しいイスラム建築に名残惜しくて、しばらくたたずみます。

クーラーのきいていたモスク内から外に出るとさすがにたまらず、レモンティを買います。

ミナレットも、どこか特徴的なスタイルをしてるな・・・

レギスタン広場のモスクの丸屋根は修復工事中で、まわりに柵が設けられてしまってたけど、こちらは美しさがそのまま丸裸です。本当に美しい。

では、トイレをお借りして、この場を去りましょう。

トイレは、5,000スム(59円)でした。

ウズベキスタンの英雄のお墓にさようなら。

アミール・ティムール廟を出てすぐのところにもモスクが。

夕方で拝観時間を過ぎてるからか、それとも元々なのかわからないけど、入場料は無料。

ルホボド廟というこちらもお墓。

霊能力者を祀った廟とのことですが、アミール・ティムール廟とは比較にならないほど、ひっそりとしてました。

今日はもう、このままホテルに帰るつもりですが、レギスタン広場のライトアップが見たいので、プラプラして時間調整です。