バーレーンの夜の散策はまだまだ続く。

時刻は21時を回っているが、スークの喧騒は鎮まる気配はないし、そもそも私は明日の朝にはクウェートに向けて飛び立ってしまう。

バーレーンを楽しめるのは今夜しかないわけで、さして広くはないマナーナスークを縦横無尽に歩き続けた。

夜がふけても人々の歩調は軽い。

夜の時間こそが本来の鼓動。

八百屋の商品もいきいきとして見える。

そして、時計は22時を回りました。

お酒の飲める「ダウンタウンロタナ」
ところで、中東では非イスラム教徒も含めてアルコールの飲酒が禁じられている国が多い。
私の渡航国ではサウジアラビア、イランがそれにあたり、明日渡航予定のクウェートも同様だ。
しかし、観光客などの非ムスリム向けにアルコールの販売が許可されている国もあり、UAEやカタールなどはバーやクラブなど限定で酒を楽しむことができる。
そして、バーレーン。
実はバーレーンもアルコールには寛容(だと思う)で、いくつかの高級ホテルのバーでそれが可能だ。
敬虔なイスラム教国家を訪れて、わざわざ酒をたしなみに行くのもどうかとは思うが、法律で公認されているのならば、権利を行使するのも悪くない。
というわけで、バブ・アル・バーレーンの門をくぐって、スークに近い高級ホテル「ダウンタウンロタナ」25階にあるルーフトップバーを訪れることにした。

ダウンタウン・ロタナは5つ星ホテル。

マナーナスーク門とも言うべきバブ・アル・バーレーンのすぐ近くにあります。
フロントもバーのクロークも非常に親切で、部外者の私を宿泊者とかわらぬ笑顔で出迎えてくれる。

そして、下界に広がる夜景。

iPhone16proの実力もさることながら、「撮って出し」でこの夜景は特筆すべきだと思う。

ペルシャ湾岸の夜景は、油や海路に支えられて築かれたこの国の歩みをそのまま映したようにも見える。

ところで、メニューはQRコードで呼び出す方式。
うかつにも写メを撮るのを忘れてしまったが、ハイネケンのほか、カクテルやウイスキーがあったように思う。

ワインがなかったことを確信できるのは、私が注文していないからだ(笑)

ハイネケンをオーダーすると、つまみもついてくる仕組み。

私はそれを知らずに「any snacks?」と追加注文。

さて、つまみは何が出てくるのかな・・・

それにしても素晴らしい夜景。
さすがにiPhoneだけに任せずに、Canon R10を取り出した。

さっきのチャイ屋で若者と経済談義になったことを裏付けるような光の海だった。

「なにかつまみを」と頼んで「枝豆」が出てきたのにも驚いた。
私の旅歴で、異国で枝豆を食べるのは初体験。

これらも観光も経済政策にしようというバーレーン国家の戦略だろう。
F1バーレーンGPが開催されるさなかは、ドライバーや関係者は、こういった場所で勝利の美酒を味わうのだろうか。

夜になって涼しいとは言っても、まだ日中の余熱が残るバーレーンで海からのそよ風が心地いい。

酒は時計の針の進みを早め、まもなく日付が変わる。
明日の朝はフライトに合わせて7時起床なので、名残惜しいがそろそろ切り上げなくてはならない。
ハイネケン2杯とつまみで15ディナール(6200円)は、日本からはるばる8,000キロ以上も離れたペルシャ湾岸までやってきた自分へのおごり。
そして、予期せぬプチハプニングが。
空港で多めに両替してしまったキャッシュで支払おうとして、実は若干足りなかった。
が、なんとボーイはまけてくれるとのこと(^ ^)
異国の高級ホテルで酒を飲んで、ディスカウントされた経験は記憶にない。
おかげで、バーレーンディナールを記念にふところに入れた綺麗な紙幣1枚をのぞいて、すべて使い切ることができた。

いい気分で、ホテルに帰る前にスークを少し歩くと、さすがに人通りは減っていた。

ホテルに戻ってきました。

夜風に吹かれながらふと思う——もし滞在がもう一日あったら、どんなバーレーンが見えていただろう。
けれど、この「一夜限りのバーレーン」が、きっと私にとって忘れられない夜になる。
そんな軽い感傷をともなうバーレーンの夜でした。